米ニューヨークのアップルストアで、「iPhone(アイフォーン)」を手にする客=4日(EPA時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権が打ち出したスマートフォンなど電子機器への関税措置を巡り、混乱が生じている。11日夜に相互関税の対象外になることが判明したが、13日には政府高官が別の関税措置を課すと明言。一方で「ある程度の柔軟性を持たねばならない」(トランプ大統領)として減免措置などの導入を示唆する中、不十分な説明や突然の方針転換もあり、不透明な状況が続いている。
混乱の発端は11日夜の事業者向け通知。政権はその中で、スマホやパソコン、半導体製造装置などを相互関税の対象から除外すると明らかにした。
相互関税を巡っては、中国と報復の応酬となり、対中追加関税はすでに発効済みだった20%と合わせて計145%に上昇。除外措置は、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などの中国製電子機器が値上がりするとの懸念を打ち消す朗報となるはずだった。
しかし、トランプ氏は13日にSNSで、スマホやパソコンなどについては、関税の「除外措置ではない」と投稿。「半導体と電子機器のサプライチェーン(供給網)全体の安全保障上の調査を検討している」とし、別の関税措置を講じる考えを表明した。
トランプ氏は13日夜、記者団に半導体への追加関税を「来週にも公表する」と言明。これに先立ち、同日午前に米ABCテレビに出演したラトニック米商務長官は、スマホなどの電子機器は「半導体への関税措置(の対象)に含まれる。恐らく1〜2カ月以内にやって来る」と予告した。
トランプ政権は、ほぼ全ての貿易相手国を対象にした相互関税とは別に、分野別の関税も導入。安保上の脅威を理由に、輸入される鉄鋼・アルミニウム、自動車に25%の関税を発動した。半導体や電子機器にも同様の措置を導入するとみられている。
関税政策では3月、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課した2日後に大幅な減免措置を決定。相互関税では完全適用が始まった4月9日のうちに、90日間の一部停止を決めており、急な方針転換が混乱を招いている。