



ハルヤマさんからは高級そうな香水のかおりまで漂ってきます。そしてハルヤマさんの後ろから現れたのは、いかにも今どきといった雰囲気のおしゃれな男の子たち。ハルヤマさんに促され、私に向かって礼儀正しく挨拶をしてくれます。


ハルヤマさんは私の隣にいた夫にも挨拶をすると、あっけに取られたままの私を置いて去っていきました。その姿を見ながら、夫がつぶやきます。「息子さんたち、いい服着てたなー。あとスニーカーも! あれ、今すごく流行ってるんだよ」



映画館で会ったハルヤマさんがいつもの地味服じゃなかったので、私はすぐには誰だかわかりませんでした。職場とはまったく雰囲気が違う小ぎれいな格好で、お化粧に香水、高級そうなアクセサリー……。しかも夫によると、息子さんが身につけていた服やスニーカーも高価なスポーツブランドのものだそうです。なんだか騙された気分になってしまいました。
私があげるコンビニスイーツも自販機のコーヒーも、本心では「こんな安っぽいのいらないのに」なんて思っていたのかもしれません。会社で貧乏人みたいなフリをしていたのは、いったい何だったの!? 私は腹立たしい思いでいっぱいでした。
【第3話】へ続く。
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