【漫画】怪異の「声」が聞こえるフリーター×霊感ナシ刑事 ホラーでも怖いだけじゃない『耳鳴りの捜査録』

0

2025年04月16日 08:00  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

『耳鳴りの捜査録』(よみ34号)

 バディものは、それぞれのビジュアルや性格が真逆であればあるほど面白い。Xに3月1日に投稿された『耳鳴りの捜査録』は、ホラー要素を加えたことにより、2人の凹凸がより際立ったバディものとなっている。


 勤務先の物置部屋から“声”が聞こえ、その不気味さから退職した田岸。その1か月後、勤務先だった会社の所長が不審死を遂げたことを知る。“声”との関係性を疑い、田岸のもとに所長の事件を追っている霊障捜査課所属の警察官・西条が訪れる――。


 友人のサポートを受けながら制作したという本作の作者・よみ34号さん(@797fo)に、制作におけるこだわりなどについて話を聞いた。(望月悠木)


参考:【漫画】『耳鳴りの捜査録』を読む


◼︎恐怖は音から


――今回『耳鳴りの捜査録』を制作した背景は?


よみ34号:数年前から怪異や心霊というジャンルにハマっており、漫画を描きたいと思っていました。でも、今まで描いたことのないジャンルだったのでホラーネタを作れる自信がなく……。キャラ設定と1話の冒頭までは自分で制作したのですが、そこからが進まなかったんです。


――未経験のジャンルだとそうなることもありますよね。


よみ34号:はい。ホラーが得意な友人に協力をお願いしてプロットを作ってもらい、スケジュールを調整しながら制作を進めました。初めての合同制作でしたが、たくさん話し合い、相談をして、互いに楽しみながら作業できたのでとても良かったです。


――ホラー系ではありましたが、“バディもの”という要素も入った作品でしたね。


よみ34号:私自身、ホラーゲームやホラー映画は音から恐怖を感じることが多いので、ホラーにおいて“音”は重要な要素だと思っています。ホラーゲームがとても苦手なのですが、試しに音量を消してプレイすると全く驚かずにできたので。それで「霊の音だけが聞こえる主人公っていいな」と思いつきました。そこに霊や怪異に詳しいけど霊感ゼロの刑事を加えて、霊感と知識の凸凹バディにしたんです。やっぱり、凸凹なバディって良いですよね。ちなみに、ストーリーの怪異部分は怪異に詳しそうな友人に依頼しました。


――そんな2人のバディはどのようにして誕生したのですか?


よみ34号:両目隠れと片目隠れが好きなので、両方とも自分がとても好きだと思えるビジュアルにしました。西条は変人だけど美形な男にしたかったので、本作を描くうえで一番気を使いました。田岸は目が見えないので、とても描きやすかったです。


――モノトーンで描かれた作画が、作中のおどろおどろしい雰囲気をより演出しているように感じました。


よみ34号:作画では光と影の表現を意識しました。明るい部分では白く、暗い部分では黒く、不穏な部分は影を差すように描いています。光と影のコントラストを描くのが大好きなので、ホラーを描くのはとても楽しかったです。黒い部分が多ければ多いほどドキッとしますし、影で何かを浮かび上がらせると不穏な印象になるので。白と黒でキャンバスを埋めていくのは楽しいですね。


◼︎ギャグを散りばめた狙い


――社長が盗品を売買している悪人だとわかり、同情心は薄れました。被害者に過剰な同情を抱かせないなど、細かい部分に配慮されたストーリーでしたね。


よみ34号:プロットは友人が担当したので詳しいことはわかりませんが、罰当たりなことをしてしまえば神罰がくだるのは日本ホラーの定番です。また、漫画の描写としては社長の顔を描かず、シルエットで描くことで感情移入を避けるよう配慮しました。


――また、田岸と西条の会話パートが軽快で、ずっと見ていたいと思える内容でした。


よみ34号:“西条に振り回される田岸”という構図でギャグが生まれるので、西条には真面目な顔で少しズレたことを言わせています。西条はこんな感じですが、実は真面目な男なんです。かわいいですね。それに、不憫なキャラ同士の掛け合いが大好きなので、会話パートは手癖で描いていました。


――とはいえ、ホラー要素の強い作品ですので、ギャグもほどほどにする必要がありますよね。


よみ34号:「シリアスになりすぎて疲れてしまうかな」と思い、適度にギャグを挟みました。また、普段はギャグだったり、変だったり、頼りにならないキャラが、本当に大切なときにしっかりしてくれるギャップが好きなので、そこも意識していました。


――本作は縦読み漫画のようなコマ割りでした。コマ割りはどのように決めていったのですか?


よみ34号:単行本の漫画も読みますが、pixivで漫画を載せたり読んだりすることも多かったので、縦スクロールでも読みやすいコマ割りにしました。ただ、あまりコマ割りが上手ではなく、縦スクロールは変化が生まれにくいので、いろいろな漫画を見ながら勉強しています。


――最後に今後の活動予定や目標を教えてください。


よみ34号:今まで読切を出すペースがゆっくりでしたが、そろそろ漫画制作に慣れてきたので、「コミティア」などのイベントに合わせてたくさん読切を描きたいです! ひとまず、次は1人でホラー漫画を描ければと思っています。プロットはできているので、楽しみにしてもらえると嬉しいです。また、漫画を描くのが上手くなって、「いつか何かしらの形で漫画を仕事にできたらいいな」と思っています。描きたいものはたくさんあるので、それを描きながら上達していきたいですね。


(文・取材=望月悠木)



    ランキングゲーム・アニメ

    前日のランキングへ

    ニュース設定