フィギュアスケート国別対抗戦を展望 日本とアメリカの一騎打ちで勝負のカギを握るのは?

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2025年04月16日 18:10  webスポルティーバ

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【総合力が試される五輪団体戦の前哨戦】

 4月17日に東京で開幕するフィギュアスケートの世界国別対抗戦。大会は男女シングル各国2名、ペアとアイスダンスに各国1組が出場し、順位得点を争う形式だ。

 2026年に控えるミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の団体戦では、男女シングルは各国1名で今回と試合形式は少し異なるが、個人戦を控えるなかでショートプログラム(SP)とフリーで出場選手が違うケースが多いだけに、チームとしての総合力が重要になる。

 そうした点で、世界国別対抗戦は、五輪前最後の団体戦であり、現時点での各国の実力を確かめられる重要な機会になる。

 今回出場するのは、日本、アメリカ、イタリア、フランス、カナダ、ジョージアの6カ国。優勝争いを考えれば、各2名が出場し大きな得点源となる男女シングルで世界トップレベルの選手を2枚そろえている過去優勝5回のアメリカと、優勝2回の日本の一騎打ちになるのは必至だ。

 ペアでは、3月の世界選手権で今季世界最高の219.79点を出して優勝した日本の三浦璃来/木原龍一(木下グループ)が優位に立ち、アイスダンスは世界選手権3連覇中のアメリカのマディソン・チョック/エバン・ベイツが今季も強さを見せている。ともに1位になれば、この2種目の得点では僅差の戦いとなり、勝負は男女シングルの結果にかかってくる。

【女子は坂本花織が一歩リード】

 女子シングルでは、3月の世界選手権では4連覇を逃して2位にとどまった坂本花織(シスメックス)が今回はリラックスした演技が期待され、これまでの実績を考えれば他の選手を一歩リードしている。

 対するアメリカは、世界選手権では初優勝を意識して崩れたアンバー・グレンが、今回はGPファイナルで優勝した時のような本来の力を出してくるだろう。また、一時引退から復帰後、自己最高得点を大きく伸ばして世界選手権を制したアリサ・リュウ(アメリカ)も勢いを保ってくるはずだ。

 しかし、坂本が実力どおりの滑りをすればSP、フリーともにふたりを上回ることができる可能性は十分で、大きな得点源となる。そこで注目されるのは、千葉百音(木下アカデミー)がどの順位に入ってくるかだ。

 千葉が、世界選手権3位という結果で得た手ごたえをどこまで見せられるか。また、リュウが2戦連続で安定感のある演技を見せられるかどうかも、来季の五輪シーズンをにらんだなかで、女子の大きな注目点になる。

【"2番手"が勝負のカギを握る】

 男子シングルは、アメリカのイリア・マリニンが、今回どんなジャンプ構成で臨んでくるか楽しみなところだ。今季のマリニンは、GPファイナル、全米選手権、世界選手権で優勝。その3戦すべてでフリーは4回転7本の構成だった。

 日本は、世界選手権では3位と悔しい結果に終わった鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大学)がどこまでマリニンに迫れるか。今季のプログラムでまだ果たせていないSP、フリーともにノーミスの演技を強く意識しているはずだ。ノーミスをそろえられれば、確実に2位以上を確保でき、マリニンが万全でなければ、一矢報いることができる可能性もある。

 そこで重要になってくるのは女子と同じく、日本とアメリカそれぞれの2番手の位置にいる佐藤駿(エームサービス/明治大学)とジェイソン・ブラウンの出来だ。ブラウンは世界選手権のフリーでは4回転がない構成ながら180.68点で4位と侮れないが、今季のシーズンベストが285.88点で世界4位につけている佐藤が少しリードしている状況。佐藤は、世界選手権のフリーでは転倒ひとつで耐えて総合6位と成長の手ごたえも得ているだけに、自身のプログラムをノーミスで滑ればブラウンを上回ることができるはずだ。

【要警戒のフランス】

 ただ、男子は他国にも有力選手がそろっていて戦いの予想は複雑になってくる。なかでもフランスは要警戒だ。昨年10月にSPで96.74点を出しているアダム・シャオ イム ファは、ケガもあって不調に陥っていたが、世界選手権のフリーでは佐藤のシーズンベストを上回る188.26点を出して、総合4位と復調してきている。

 また、フランスには昨年10月にフリーで190.84点を出したケビン・エイモズもいる。今季は好不調の波が激しかったが、世界選手権ではSP4位で、総合順位は佐藤のひとつ上の5位と結果を残した。4回転はトーループのみだが、ブラウンと同じく演技構成点を確実に稼げる滑りをしていて、ノーミスの演技をすればさらに得点を伸ばす力がある。

 ほかにも、ジョージアにはSPで93.89点を出しているニカ・エガゼ、イタリアにはSPで93.82点(非公認)、フリーで181.84点を出しているダニエル・グラスルがおり、日本とアメリカにミスが出れば順位を落とす可能性もある。

 有力選手に注目が集まる個人戦とは違い、順位ポイントが重要になってくる団体戦は、すべての選手の演技が見逃せない。

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