写真 嫁・姑問題は、令和時代においても依然として遭遇することがあります。近藤春子さん(仮名・35歳)もその例に漏れず、義母との関係に悩んでいるそうです。
「義母とは結婚当初から、良好な関係ではありませんでした。彼女は自分の息子に私が釣り合わないと思っているんです」
◆結婚の報告をした直後に義母から放たれた嫌味
春子さんは1年前、マッチングアプリで出会った5歳下の優斗さん(仮名)と結婚しました。結婚の報告に行った時点で、義母は春子さんに冷たく当たったそうです。
夫である優斗さんは実はバツイチ。性格の不一致から27歳の時に離婚を経験しています。元妻と仲が良かった義母は、離婚の報告を受けてとても残念がっていたのだとか。
「気の強い義母は、サバサバしていて社交的な元妻のことが大好きだったそうです。私は内気で引っ込み思案。夫より私のほうが年上なのことも気に入らなかったようです」
義母は春子さんが目の前にいるのにも関わらず、「あんた、5歳も上の人と結婚するの? 子どもとか大丈夫?」と優斗さんに尋ねました。
「夫とは結婚前に子どもの話はしていて、彼の希望で作らないと決めていました。
このことは夫の口から伝えてもらったものの、『子どもを作らない本当の理由』は私にあるはずだと疑っている様子でした」
その後、優斗さんがトイレに立つと、義母は春子さんに聞こえるように「まだ若いうちの息子が、なんで子どもも産めないような人と結婚しないといけないのかね」とポツリ。
隣にいた義父に「失礼だぞ」と怒られたことで無言になったものの、2人の結婚には明らかに賛成してない様子でした。
◆義母がくれた家庭菜園の野菜に大量の虫が…
義母の態度は気になったものの、優斗さんから「結婚するかしないかは俺たちが決めること。母なんて放っておけばいい」と言われたことで、春子さんは前向きになれたと言います。
そうして2人は、優斗さんの実家から車で15分ほどのアパートで新生活をスタートさせました。
「実家の近くに住むことになったのは、義母の要望です。自分たちに何かあったとき、そばにいてくれると心強いと言われた夫は、断ることができませんでした」
義母が近くにいることは気がかりでも、一緒に住んでいるわけではない……。春子さんは自分にそう言い聞かせ、楽しい新婚生活を送っていました。
しかし、2カ月ほど経ったころ、急に義母が訪ねてきたのです。警戒したものの、「これ、うちで採れたから」と、笑顔で家庭菜園の野菜を春子さんに手渡し、帰っていきました。
「結婚の挨拶に行った日とは違って、友好的な雰囲気でした。違和感はありましたが、義母なりに私たちの結婚に納得してくれたのかなとも思い、ありがたく受け取りました」
もらった野菜は夕食で出そうと思ってあらためて手に取ると、驚愕。その野菜には、毛虫などの大量の小さな虫がうじゃうじゃいたのです。
「つい悲鳴をあげてしまうほど、ビッシリといました……。でも、無農薬野菜だと言っていたから、虫がいるのは普通のことかもと気を取り直して、なんとか調理しました」
ところが、その後も義母が持ってきてくれる野菜には、大量の虫が必ず毎回いたのです。次第に春子さんは、義母からの嫌がらせなのではないかと疑うようになりました。
◆妻より母親の味方をする夫
とはいえ、嫌がらせだという確証がない以上、わざわざ持ってきてくれる野菜を受け取らないのは失礼な振る舞いです。
自分の思い込みのせいで、義母との仲がより悪くなってしまうことは避けたい――。そんな一心で、「野菜はもう必要ない」ことを優斗さんから義母に伝えてほしいと頼みました。
しかし、優斗さんは「家計が助かるし、良かれと思って持ってきてくれてるんだから、そんな嫌味なことは言えない」と伝言を拒否。
そこで嫌がらせの可能性があることを伝えると、「なんでそんな考えしかできないの? 心が狭いんじゃない?」と、むしろ春子さんが人間性を疑われてしまう羽目に。
◆嫌がらせを確信しても、抵抗できない自分が悔しい
以来、春子さんは義母が持ってきた野菜をこっそり捨てているそうです。とはいえ、食べ物を捨てることに胸は痛むもの。「もういりません」の一言を伝えられない自分にモヤモヤしていると語ります。
「一度、義母から『無農薬野菜だから虫が多いかもしれないけど、大丈夫〜? 春子さんは都会の人だから、虫なんて苦手でしょ?』と言われたのですが、露骨に馬鹿にしたような表情を浮かべていました。
それで虫付きの野菜を私に渡すのは意図的だと確信したんです。なのに、反逆できない自分が情けなくて」
「せめて、夫が私の味方であってくれたら」と思うたびに、春子さんは夫婦関係そのものに対する疑問さえ抱くと吐露します。
2人だけでは完結しない問題が起こるのが、結婚生活であるともいえるのかもしれません。
だからこそ、相手を孤軍奮闘させるのではなく、パートナーが寄り添い協力することは必要不可欠ですが……。優斗さんの目が覚める日は果たしてやってくるのでしょうか。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291