元祖ケーキアイス「ビエネッタ」の販売終了に市川紗椰「われわれは偉大な存在にさよならを告げました」

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2025年04月18日 06:50  週プレNEWS

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ビエネッタのようにエレガントな「クラシックどーもくん」と

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、今年3月末をもって販売終了した元祖ケーキアイス「ビエネッタ」について語る。

 * * *

4月。別れと出会いの季節。2025年の春、われわれは偉大な存在にさよならを告げました。多くの人の憧れと思い出が詰まった、贅(ぜい)の象徴。もはや伝説とも言えるザ・ラグジュアリーアイス。今年3月末をもちまして、元祖ケーキアイス「ビエネッタ」の販売が終了しました。

終売の一報は大きな話題を呼びました。テレビでの特集はもちろん、SNSなどの検索も急上昇したそう。「最後にもう一度!」との思いから駆け込み需要が起き、一部では「アイスの高額転売」といった奇妙な現象も。

普段からもっと利用していたら、そもそもなくならなかった可能性があるのでは。廃線(18年)が決まってから通勤ラッシュ並みに満員状態になったJR三江(さんこう)線を思い出します。乗って残そう、ローカル線。推しは推せるうちに推せ! 

という厄介オタ的な愚痴はさておき、ビエネッタがなくなるのは寂しい限り。森永乳業から1983年に発売され、最もなじみ深いビエネッタ バニラは、濃厚なバニラアイスとパリパリとしたチョコレートを幾層にも重ね合わせた、箱入りの高級ケーキアイスです。

さざ波状のアイスと横のドレープ加減のビジュアルがエレガントで、芸術的なフォルム。ひとりでは食べ切れない量なので、「ビエネッタを食べる=プチお祝い」というイメージがある人も多いでしょう(その分値段もほかのアイスの数倍しました)。

今回、多くの報道で「昭和の憧れのアイス」とうたわれてるのを目にしましたが、私のような平成チルドレンにも"ネッター(ビエネッタ好きの呼称。今作った)"はたくさんいます。名前も貴婦人みたいでイケてたし。

チョコとアイスクリームが層になった商品はほかにもありますが、層の繊細さはビエネッタが一番。あんなデリケートなチョコ、どうやってアイスに閉じ込めたのかしら。カットすると、サクサクサクッという音とともに現れるかれんな断面が見ものでした。

ビエネッタの最大の特徴は、ナイフでカットして食べるところかもしれない。切って食べるごちそう感、そして入刀するときのあの音。ASMRという言葉が生まれるはるか前から、ネッターはこの音色に陶酔してました。

ASMR的目的で、ビエネッタを恵方巻きのように両手でつかんでじか食いしているショート動画がたくさん上がってますが、個人的にはナイフで切ってこそビエネッタですね。

そんなビエネッタですが、公式サイトのプレスリリースによると「ライセンス契約の終了により」終売するとのこと。

そもそも契約が終了する理由は記載されてませんが、契約料と売り上げのバランスなんでしょうかね。ナビスコブランドとのライセンス契約終了に伴って、ヤマザキビスケットが「リッツ」などの製造を終了したとき(16年)を思い出します。

ということは、「リッツ」に対し新ブランド「ルヴァン」を立ち上げたように、ビエネッタも継続されるのか? リッツ原理主義者の私はまだ違和感があるので、「"転生ビエネッタ"にもついていけるかしら」と頭の固さを憂いていたら、朗報! ビエネッタ、日本以外ではまだ食べられます! アメリカなど多くの国では、販売が続いてます!

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。ビエネッタの転売に屈しそうだったけど、さすがに食べ物だから踏みとどまった。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

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