競輪界に“ラインなし”新レース誕生!元女王・高木真備が語る「KEIRIN ADVANCE」の攻略法

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2025年04月18日 15:51  日刊SPA!

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元ガールズケイリン選手で、2021年「ガールズグランプリ」で優勝した高木真備さん
 ガールズケイリンの人気筆頭格として、1つの時代を牽引してきた高木真備さんに、競輪にまつわる話を語ってもらう連載企画。高木さんは2021年の「ガールズケイリングランプリ」で見事に優勝。年間賞金女王の称号を獲得し、「やり切った!」という気持ちで選手を引退。現在は保護犬・保護猫活動、および競輪番組での解説者などの活動を行っている。
◆「単騎」で勝負する新時代の競輪

 4月19日の伊東競輪場で試験的にスタートする「KEIRIN ADVANCE」。従来の競輪とは異なり、チーム戦の要素がなく、完全な個人戦となることが一番の特徴といえるだろう。ルールとしてはガールズケイリンに似ており、「ライン」と呼ばれる選手同士の連携が存在しないため、各選手が個々の純粋な実力勝負を繰り広げることになる。

 ガールズケイリンのトップ選手として活躍し、引退後は競輪番組の解説者としても活躍している高木さんに「KEIRIN ADVANCE」についての見解を伺った。

「男子競輪だと“誰が誰の番手につくか”など、地区でまとまって連携しますが、アドバンスではそれが一切ありません。予想をするお客さん目線だと、従来のファンの人がどう捉えるか……というのはありますが、レースがわかりやすい展開になる可能性が高いので、競輪初心者の人にとっては入りやすい形になると思います」

◆「強い人が勝つ」予想はシンプルに

「KEIRIN ADVANCE」の最大の魅力は、勝敗が実力勝負になること。高木さんは「強い人がトップスピードに乗れば、そのまま逃げ切れるレースになる」と分析。

 また、わかりやすいルールによって「ほかの公営競技ファン方々が競輪に興味を持ってもらうきっかけになる可能性もあると思います」と話す。

「たとえばボートレースは“1号艇が有利”みたいに、予想にするうえでわかりやすい共通認識がありますよね。そういう意味でいうと、アドバンスは基本的に“実力通りの結果になりやすい”ことが、わかりやすい共通認識になるでしょう。もちろん従来のファンの方の中には『競輪はラインがあってこそ!』という意見もあると思いますが、そこが難しくて競輪をやったことがない人も多いと思うので、新規ファンの人を増やすという意味でも、こういった試みには期待したいですね」

◆「レース展開が単調になる」のはデメリットに?

 一方で、高木さんは「仕掛けが単調になる可能性はあると思います」といったデメリットも指摘。2014年〜2019年に実施された類似の試み『KEIRIN EVOLUTION』では、「レース終盤で動き出す展開になることも多かったです」と振り返る。

「ガールズのレースにおいても『後ろに誰かいるかも』って考えすぎてしまうと、なかなか動くことができません。結局、誰も仕掛けず、終盤で一気に加速する感じのレースになってしまうこともあります。男子もラインがなくなると、同じような現象が起きるかもしれません。お客さん目線で見ると、駆け引きが少なく、4コーナーから一気に加速してそのまま決着となると、『エンタメ性に欠けてしまうかもしれない』というのは懸念点かなと思います」

◆KEIRIN ADVANCEの予想方法

 また、予想において「KEIRIN ADVANCE」では、従来のようなライン戦を考慮した予想ができなくなるため、選手の個々の特性がより重要になるだろう。「誰の後ろにつくか、どのタイミングで仕掛けるかが勝負のカギを握りますね」と高木さんは続ける。

「ガールズのレースでも『この選手スタート速いな』とか『バック回数多いな』っていうのを見て予想するじゃないですか。男子もそうなると、通常の競輪以上に性格とかクセも考慮しなきゃいけなくなると思うんです。何も考えずにスタートで飛び出してしまう若手もいるでしょうし、駆け引きを重視するベテランもいる。そのあたりの個性を読み取るのが、新たな予想の楽しみになりますね」

◆競輪の魅力を伝える新たなチャンスに

 高木さんは最後に「新しい形の競輪として“入口”になるのは大歓迎です。でも、長く続くためにはシンプルなだけじゃなくて“面白さ”をちゃんと作らなきゃいけない。そこが一番のポイントかなと思います」と話した

 この“アドバンス”という実験が、競輪界に新たな風を吹き込むか。シンプルな力勝負の魅力を活かしつつ、エンタメ性をどう向上させるかが今後の課題となりそうだ。

取材・文/セールス森田

―[高木真備のガールズケイリントーク]―

【セールス森田】
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント

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