人は誰しも、欲求をコントロールしながら生活をしている。なぜなら、私たちの生きる世界には社会的ルールがあるから。みんながそのルールや倫理観を守るから、安心安全に過ごすことができる。じゃあ、その欲求が何かの拍子に制御できなくなってしまったら……?
そんな秘めたる欲求を抱えながら生きているのが、『ユメコマッドネス』の主人公・白石夢子だ。果たして夢子が抱えている欲求とは。そして一線を超えてしまった夢子の行先は……?
今回は、作者の青目槙斗さん(@aome_makito)にインタビュー。掴みきれない“夢子”という人間について、そして青目さんが追求する“人間のリアルさ”について聞いた。(はるまきもえ)
◼︎人間が抱える矛盾とリアル
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ーー『ユメコマッドネス』の制作に至った経緯について、教えてください。
青目:最初は、女の子の“猟奇的な愛”を描きたいというところから入っていきました。あともともと担当さんに「ホラーを描いてみないか」と言われていたので、恋愛とホラー要素を掛け合わせたら面白いんじゃないかと思って、作り始めたという感じです。
ーー夢子の恍惚とした表情が、かなり印象的ですね。
青目:Xにポストした冒頭のカット(37P1コマ目)は、夢子がサディスティックな快楽を味わってるシーンです。この見開きのシーンが1番盛り上がるところなので、物語もそこに向かって逆算しながら考えていきました。
ーー後半になるにつれて、物語に疾走感がありますよね。主人公である夢子の狂いっぷりが本作の鍵になっているかと思うのですが、夢子にとって性格が豹変するスイッチみたいなものはあるのでしょうか?
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青目:恋愛対象が取られることですね。夢子は独占欲が強い性格なので。ただ性格が変わるというよりか、夢子はもともと変な性格なんです。
実は、1ページ目から“変なやつ感”がわかるように描いていて。持っている手帳が高校生にしては子どもっぽいデザインになっているんです。夢子はパッと見落ち着いていて大人びているように見えるのですが、手帳のデザインに表れているように、内面が年のわりに未熟なんです。
ーーなるほど。物語の後半では徐々に夢子の内面が剥き出しになってきますが、幽霊をバッドで倒すシーンは思わずクスッと笑ってしまいました。
青目:刃物だとザクっといっちゃうので、バッドの方がじわじわ痛めつけられるかなと思ってチョイスしました。恋愛の独占欲と、サディスティックな面。どちらも夢子の性格なんです。
ーー描く上でこだわった部分があれば、教えてください。
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青目:幽霊に選択を迫られて、決断をするシーンですね。髪の色を抜いた表現にしたのですが、これは阿部共実先生から影響を受けました。
ーーなぜこの表現をしようと思ったのでしょうか?
青目:幽霊の要求がわりと凄惨なのですが、普通だったら動揺したり焦ったりするところを、綺麗に描いたら印象的かなと思い、ここでそのカットを入れました。彼女を何を考えているかわからない人物として描いた方が、魅力的になるかなと思ったんです。
ーー青目先生の作品は本作も含め、二面性やギャップのあるキャラクターが多いように感じます。
青目:人間ってすごく、矛盾しているところがあると思っていて。たとえば、しっかりしてそうな人がやってはいけないことを急にしたりすることとかあるじゃないですか。僕自身、いままでの人生でそういう人も見てきたので、生きていてちゃんと存在してそうな人間を描こうと思ったら、そういった部分にフォーカスした方が作りやすいんです。
ーー最後に、今後の展望について教えてください。
青目:現在は読切などもいろいろ制作しているので、掲載されるように頑張りたいと思います!
(文・取材=はるまきもえ)
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