限定公開( 73 )
東京商工リサーチが行った調査で、2024年度の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が179件(前年度比36.6%増)と、過去最多を記録したことが分かった。
コロナ禍と大型の連鎖倒産が発生した2022年度の144件を大幅に上回った。利用者獲得の競争やコロナ禍のダメージ、人手不足、介護用品の高騰などが重なり、負担が増していることが背景にある。
業種では、介護報酬のマイナス改定やヘルパー不足などが影響した「訪問介護」が86件(同21.1%増)と全体の約半数(48.0%)を占めた。デイサービスなどの「通所・短期入所」は55件(同34.1%増)で過去2番目の高水準に、低価格の新規参入も多い「有料老人ホーム」は17件(同112.5%増)で2.1倍に増加し、過去最多を更新した。
原因別にみると、最多が「売上不振(販売不振)」で133件(前年度比27.8%増)、次に赤字が累積したことによる「既往のシワ寄せ」が15件(同150.0%増)、甘い事業計画など「事業上の失敗」も15件(同400.0%増)だった。
|
|
個人企業を含む「資本金1000万円未満」が157件(構成比87.7%)、「従業員10人未満」が149件(同83.2%)、「負債1億円未満」が144件(同80.4%)と、小・零細事業者の淘汰が進行している。
東京商工リサーチは「人手不足の解消や運営の効率化は、事業者単体での対応には限界がある。処遇改善や物価高への対応、システム面への投資補助など、国の支援拡充がなければ2025年度も倒産増は避けられないだろう」と分析している。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。