写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2023年4月19日 記事は取材時の状況)
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トラブルというのは時として重なるもの。今回は半年前に付き合い始めた恋人との初旅行で当て逃げ被害に遭ってしまった女性のエピソードを紹介します。
彼女を襲った当て逃げ被害よりも衝撃的な事件とは――。
◆多忙で休みが取れない彼氏と初めての旅行
音夢さん(仮名・29歳)の彼氏は区役所勤務の公務員です。年度末は忙しい上に異動などもあってバタバタしていて休みが取れませんでした。
「ずっと、『旅行に行きたいよね』って話してて、計画を立てていたんです。でもなかなか実現できなかったのですがやっとまとまった休みが取れることになったんです」
付き合って半年になる彼との初めての旅行。当初は真冬の温泉に行こうとしていたのですが、まとまった休みが取れたのが春先でした。
二人の初旅行は北海道に決めました。
「ほんと嬉しかったです」
◆彼の新車で北海道をドライブ、まさかの…
音夢さんより4歳年上の彼は、一昨年にようやく手に入れた某アメリカ製電気自動車に乗りたくて仕方がありませんでした。そのため、自宅から大洗まで車で向かい、フェリーに車を乗せて北海道へ向かうことにしました。
18時間もの海の旅を終えて苫小牧港に到着し、二人はさっそく富良野を目指してドライブしました。
「東京の景色とは全然違って新鮮でしたね。景色が広くて。それに彼の車の乗り心地も良くて最高でした、そこまでは……」
音夢さんは当時をそう振り返ります。ところが、もうまもなく富良野に到着というところで、前方からセンラーラインをはみ出して向かってきた軽トラックに衝突してしまいます。さらにその軽トラックはそのまま走り去ってしまったのです。
◆当て逃げ事件に巻き込まれ、警察に通報
「当て逃げでした。すぐに警察に通報しました」
せっかくの観光旅行なのに飛んだハプニングに巻き込まれてしまいました。警察を呼び、現場検証を終えて、加害者を特定してもらうために最寄りの警察署へ同行することになりました。
彼はドライブレコーダーのデータの入ったUSBメモリを取り出して、事故担当の警察官とともに録画チェックをすることに。
「犯人の顔やナンバーも映っているだろうということで、警察の方と一緒に録画を確認してもらうことになりました」
彼がPCを操作して、映像の入ったファイルをクリックして再生を始めます。
◆ドライブレコーダーに映っていたものは…
映像の助手席に映っていたのは音夢さんではなく、見知らぬ女性でした。それは、8ヶ月前に別れたという、彼の前の恋人だったのです。
「『あ、あれおかしいな〜』とすぐに動画を閉じていました。明らかに彼は動揺して焦っていました。きっと私の表情が曇ったのが見えたのかもしれません」
焦ってパソコンを操作すればするほど、思いもしないフォルダやファイルをクリックしてしまうもの。彼氏は「さっきの動画はどこかな」とわざとらしい独り言を漏らしながら、目的の動画を探しますが、再生される動画は元カノとのドライブデートの様子ばかりです。
「助手席に座っていた元カノと楽しそうに談笑する様子や、アイスをあーんして食べさせている様子など、見たくもないものばかりが次々に再生されました」
同席していた警察官も失笑していたそうです。挙句の果てには、真っ暗な車内で二人が頬を寄せ合って、熱いディープキスをしているシーンが再生されてしまいました。
「もちろん、元カノがいたということは以前から聞いていたことですし、付き合っていたのですからそれくらいしていて当然なのですが……」
音夢さんはその場で泣き崩れてしまい、その場にいた婦人警官が機転を利かし音夢さんと一緒に部屋の外へ出ていきました。
◆ホテルへ戻るも重い空気のまま
その後、彼だけで、事情聴取と届け出の提出を終えました。音夢さんは待合室のソファに座って待っていたそうです。
すべての手続きが終わった後、とりあえず警察署にタクシーを呼んで、もともと宿泊を予定していた富良野のホテルに向かいました。もちろん二人の間には重い空気が流れ、会話もありませんでした。
事故に遭ってしまったというショックと、彼氏の元カノとのラブシーンを目撃してしまったというダブルのショックで音夢さんにはとても会話する気力すら残っていませんでした。
◆散々な初旅行の、悲惨すぎる結末
それからその晩、音夢さんは寝付くことはできませんでした。
「考えれば考えるほど、彼とは一緒に過ごすことはできないという思いが強くなっていきました。冷静になれって自分に言い聞かせていたのですが、無理でした」
翌朝、音夢さんはどうしても彼と一緒には過ごすことはできなくなり、富良野駅から一人で新千歳に向かい飛行機で東京に帰りました。
「まだ正式には別れていないですが、きっと別れることになると思います」
当て逃げ被害に遭ってしまったことも災難ですが、それ以上の災難が音夢さんに降りかかりました。災難というのは続くときは続くものです。ゆっくりと休養を取って、心の傷を癒やしてください。決断はそれからでも遅くはありません。
<文/大杉沙樹>
【大杉沙樹】
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。