トランプ関税でiPhoneの価格が高騰する? ユーザーが考えておくべきこと

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2025年04月22日 12:51  ITmedia Mobile

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Appleによると、中国ではサプライチェーンを通じて500万人以上の雇用を創出しているとのこと

 何かと世間を騒がせている、米トランプ政権の関税政策。特に中国に対しては、145%の関税を課すと発表。中国も米国に対して関税を125%まで引き上げるなど、経済摩擦が激化しています。これが世界、あるいは日本の経済にどのような影響を与えるのかの予想や分析は経済の専門家に任せるとして、気になるのはスマートフォン、特にiPhoneの価格がどうなるのかです。


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 トランプ政権が中国に54%の関税(20%の制裁関税+34%の相互関税)を課した直後には、iPhoneの価格が30〜40%アップするとの予想も出されていました。ローゼンブラット証券のアナリストは、顧客向けメモの中で、iPhoneの価格を43%引き上げる必要があると予想。米国で999ドル(約14万2000円)のiPhone 16 Proが、1429ドル(約20万3000円)になる計算です。


 その後、中国が米国に対して報復関税を発表し、米国がこれに対抗して最終的に関税を145%までアップさせるなど、事態は泥沼化の様相を見せていました。


 こうした状況に際して、米国では値上がり前にiPhoneを購入しようという動きもあったようです。また、トランプ政権としても、対中関税の引き上げによるiPhoneなどの値上げは想定していたようで、「iPhoneは米国内で作れる」との主張もありました。


 なお、米国は4月11日、スマートフォンやPC、半導体関連機器を相互関税の適用除外にすると発表しています。ただし、この除外は恒久的なものではないとのこと。ラトニック米商務長官によると一時的な除外にすぎず、1〜2カ月のうちに相互関税とは別の形で関税を課すと発言しています。


 世界の工場といわれるほどに生産が中国に集中しているのは、単に人件費だけの問題ではなく、さまざまな部品や資材が集まっていること、大規模な製造ラインがあること、そして高度な製造技術を有していることなどの要因があります。


 このため、工場を建てれば米国内で製造できると簡単にいえる状況ではありません。ただ、中国に集中していた生産拠点を中国以外の国や地域に分散させる、いわゆる「チャイナ・プラスワン」と呼ばれる経営戦略がグローバル企業では進められており、Appleも数年前から中国以外での生産に力を入れています。


 Bloombergの報道によると、3月までの12カ月間で220億ドル相当のiPhoneをインドで生産ししたとのことです。これは、iPhone全体の約2割にあたります。また、2025年には製造の25%をインドで行うとの予想も報じられています。なお、GoogleのPixelに関しても、生産拠点のインドへのシフトが進められています。


 とはいえ、今回のトランプ政権の相互関税はインドも対象となっており、26%の関税が課されています(ちなみに日本は24%です)。このため、関税政策がこのまま続けば、iPhoneやPixelなどのスマートフォンの値上げは避けられない可能性が高いです。中国と日本、インドと日本など、米国外に関しての関税は従来通りではあるのですが、AppleもGoogleも米国企業であり、自国でのみ大幅な値上げということはしたくないところでしょう。このため、米国での価格上昇分を、一律の値上げという形で広く分散させることも考えられます。


 最終的にトランプ政権の関税政策がどうなるのか、まったく予想がつかないわけですが、iPhoneやPixelなどの米国企業製ハイエンドスマートフォンは今後も値上がり傾向が続くのは確かです。何が何でもハイエンドというのも1つの考え方ではありますが、ハイエンドスマートフォンの性能をフルに必要としている人はそれほど多くはないでしょう。


 スマートフォンの値上がりが止まる見込みが少ない以上、自分が本当に必要としている性能を確認し、それを満たせる手ごろなスマートフォンを探してみることも、今後はもっと必要になってくるでしょう。そして何より、今使っているスマートフォンを長く使い続けるという意識が大切なのかもしれません。



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