
今回の放送では、株式会社SPACE PRODUCEの代表取締役・小林佐理(こばやし・さり)さんをゲストにお迎えして、「オフィスのお悩み解決ラボ」のコーナーを実施。オフィスデザインに伴う「費用」に注目しました。
(前から)株式会社SPACE PRODUCEの小林佐理さん、DJ Nobby
◆想定以上に内装工事費がかさむケースがある
今回は、これからオフィスを借りようとしている方や、移転を検討している中小企業のオーナーや担当者に向けて、快適なオフィスづくりを目指すうえで「知っておきたい費用」について紹介します。
実際にオフィスを借りる段階になると、多くの方が注目するのは毎月の賃料や入居時に必要な保証金などではないでしょうか。しかし、オフィスの内装に関して、どのような費用がかかり、どのような制限があるのかについては、あまり知られていないのが現状です。
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カーペットが敷かれ、壁にクロスを貼られた状態で、自由にデザインできる物件が一般的ですが、内装工事には保証金を上回る金額がかかることも珍しくありません。「入居するビルによって利用する業者に制限があるので、お客さんが勝手にやると怒られてしまうケースがあります」と小林さんは説明します。
◆物件契約前に工事区分をチェックしよう
内装工事で注意すべきポイントの1つが「工事区分」です。これは、工事の発注者、施工者、費用負担者を明確にするための取り決めであり、「A工事」「B工事」「C工事」の3つに分類されます。
A工事:オーナーの費用負担で、オーナー指定の業者が施工する工事。消火設備やビルの躯体(くたい)、トイレ、エレベーターなどの共有部に関する工事が該当します。
B工事:賃借人の費用負担で、オーナー指定の業者が施工する工事。空調や給排水、防災設備などが主な対象です。
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C工事であれば、複数の業者から見積もりを取るコンペが可能ですが、ビル側が指定する業者の場合は1社のみとなり、金額も1.5〜2倍に膨らむ傾向があります。小林さんは「A工事はほぼないので、B工事をなるべく減らしてC工事に持っていったほうがコスト的には安くなります。一方でビルも綺麗だし、いい物件だから契約してみたものの、あとから工事区分を見て全部B工事だとわかり、コストがかかる可能性もあります」と注意喚起しました。
不動産会社がオフィス物件を紹介する際、工事区分について説明してくれることは少なく、確認不足のまま契約が進んでしまうケースもあります。
「我々が物件を探す際は、まずビル側から工事区分表をいただいてしっかりと確認をして、コスト面をチェックします」と小林さんは発言。「こういうオフィスを作りたい」という要望を受け、現地調査をしたあとに工事の計画を立てる、という流れでは思わぬトラブルが発生する可能性があると述べます。
契約前には内装工事会社や施工業者にあたりをつけておき、事前に工事区分を確認しておくことを推奨しました。
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工事をおこなう際には、ビル側が定めた規定やルールの確認も欠かせません。たとえば「昼間は工事不可」「搬入可能時間に制限がある」「エレベーターの使用可否」など、細かな条件をすべて確認し、最終的にどれだけコストが膨らむかも、事前に把握する必要があります。
また、コストを抑える手段として“居抜き物件”の活用が注目されることもありますが、「造作譲渡契約」により、予想外の出費が発生するケースもあります。
居抜き物件とは、以前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま引き継げる物件を指します。新たに入居するテナントが、それらの内装や設備の「造作譲渡料」を負担するのが一般的です。飲食店の居抜きの場合は、SNS等に譲渡金について記載されていることが多いのですが、オフィスの居抜きでは記載がないことも少なくありません。
さらに、居抜きオフィスを退去する際には、内装を撤去しスケルトン状態に戻す「原状回復工事」が求められることがあります。「原状回復工事はB工事が多く、高額になる可能性があります。退去する際もコストがかかることを考えなければいけません」と小林さん。
現在人気の居抜きオフィスですが、メリットとデメリットを正しく理解したうえで契約することが大切です。最後に小林さんは「今回はコストの話をしましたが、我々としてはデザインとコストが両立してこそ、お客様の感動や満足につながると考えています。この金額でこのデザイン、追加の費用はかからないという形で、安心してご依頼いただけるようにしています」とコメントしました。
<番組概要>
番組名:週刊Nobbyタイムズ
放送日時:毎週木曜日 19:00-20:55
出演者:DJ Nobby(パーソナリティ)、宮田リコ(アシスタント)、高橋里実(アシスタント)
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