「目が据わっていて怖かった」　全裸男性が塾に侵入、突然殴られ

　草加市の学習塾敷地内に全裸で無断侵入したとして21日、住所・職業ともに不詳の西村大輔容疑者（48）が建造物侵入容疑で逮捕された事件。県内では同日夜、全裸の男性が起こしたとみられるタクシー盗難やひき逃げなどが相次いでいた。事件の被害者が毎日新聞の取材に応じ、緊迫した状況を証言した。

　草加市の学習塾関係者によると、西村容疑者が塾内に入ってきたのは授業中だった午後9時半ごろ。塾関係者が「何やってんだ」と声をかけたところ、無言のまま突然頭の右側を殴られ、10針縫うけがをしたという。

　当時は中学生の生徒十数人が塾内におり、女生徒一人が肩をつかまれ、逃げようとした際に膝をすりむいた。間もなく駆けつけた警察官が西村容疑者を取り押さえ、他にけが人はなかったという。関係者は「（容疑者は）塾のキッチンで武器になるものを物色していたのかも。目が据わっていて怖かった」と振り返った。

　その約20分前には、川口市内で全裸の男性にタクシーを盗まれる事件が発生。被害に遭ったタクシー会社の男性役員によると、60代の男性運転手が乗客2人を乗せていたところ、裸の男性が突然、乗り込んできた。男性は「殺すぞ」とわめきながら運転手を車外に引きずり出して暴行し、乗客を乗せたままタクシーを奪ったという。

　GPS（全地球測位システム）の記録などから、タクシーはそのまま草加市方面に向かい、約20分後に学習塾付近で事故を起こし、止まったとみられる。運転手は頭を打撲し、乗客2人も軽いけがをした。男性役員は「運転手や乗客の命が無事だったのが不幸中の幸いです」と話した。

　県警は西村容疑者がタクシー盗難などに関与した可能性があるとみて調べている。【田原拓郎、加藤佑輔、板鼻歳也】