労働基準法に沿った休憩時間がないまま長時間の勤務をさせられたとして、格安航空会社(LCC)「ジェットスター・ジャパン」(千葉県成田市)の客室乗務員(CA)ら35人が労働環境の改善を求めた訴訟で、東京地裁は22日、ジェットスターによる労基法違反を認め、休憩時間を取らせない勤務を禁じる判決を言い渡した。乗務員1人当たり11万円の賠償も命じた。
高瀬保守裁判長は「ジェットスターは、労働者の健康を危険から保護する配慮義務に違反した」と指摘した。CA側弁護団によると、CAの休憩時間を巡り、違法な勤務命令を差し止める司法判断は初めて。ジェットスターは即日控訴した。
労基法は6時間を超えて勤務する場合は少なくとも45分、8時間超の場合は1時間の休憩をそれぞれ与えるように定めている。ただし、航空機の長距離乗務や、勤務中も休憩に相当する時間が十分にあれば、休憩時間を与えなくても違法にならない例外規定がある。
判決は、原告のCAは国内便を短時間で乗り換える勤務で、長距離乗務には当たらないと指摘。到着直後と出発直前の計35分間は安全確認や機内清掃がある上、ジェットスター側が休憩に相当すると主張する時間も乗客の要望に対応する必要があり、例外規定の条件を満たさないと判断した。
その上で、2019年12月〜22年7月の勤務は、労基法が求める休憩時間を満たさず、違法な勤務命令に基づくものだったと認定。提訴後も改善される見通しがないことから、勤務命令を差し止めた。
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ジェットスターは「社員の安全や心身の健康は最優先事項で、客室乗務員が十分な休憩時間を確保できるよう運航を行っており、主張の一部が認められなかったことは残念」とコメントした。
【安元久美子、安達恒太郎】
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