Apple Intelligenceで、ChatGPTについて確認を求められるのはなぜ? - iPhoneユーザーのためのMacのトリセツ

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2025年04月23日 11:31  マイナビニュース

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○A:プライバシーを重視するAppleならではの動作です。そこには、Apple IntelligenceとChatGPTの違いがあります



Apple Intelligenceのさまざまな機能の使い方は次回以降に紹介していきますが、今回はApple Intelligenceの仕組みやChatGPTとの連係について取り上げます。


○Apple IntelligenceとChatGPTは連係できるが、動作や方針が違う



Apple Intelligenceを使っていると、ChatGPTの使用に関する確認を目にすることがあります。


これにはどういう意味があるのでしょうか。



Apple Intelligenceも、ChatGPTをはじめとする他社サービスも、どちらもAIでしょう? と言えばそうですが、その動作や方針には大きな違いがあります。



AIをつくる段階では、大量のデータが必要です。これはApple Intelligenceも他社サービスも同じで、広く大量のデータを使ってAIをつくっています。ところが、AIをつくった後の使われ方が異なります。

○他社サービスは基本的にインターネット経由でやりとりされる



ChatGPTをはじめとする他社サービスは基本的に、

ユーザーが質問やリクエストをする



質問やリクエストが「インターネット経由でサーバーに送られる」



「広く大量のデータ」をもとに「サーバーで」答えが生成される



答えが「インターネット経由で返ってくる」

という仕組みです。なお、カギカッコを付けたのは、後述するApple Intelligenceと異なる部分です。

そしてサービスの利用規約などによりますが、多くの場合、自分が送った質問やリクエスト、そこから始まったやりとりやフィードバックなどの情報が収集され、サービスの向上に生かされています。

○Apple Intelligenceはできるだけ自分のデバイス内で処理を実行する



これに対してApple Intelligenceは、

ユーザーが質問やリクエストをする



質問やリクエストは「インターネット経由で送られない」



「自分のデバイスのデータ」をもとに「自分のデバイスで」答えが生成される



答えが表示される

という仕組みです。こちらも、前述した他社サービスと異なる部分にカギカッコを付けました。



自分のデバイスで答えを生成するには高い性能が必要で、だからApple Intelligenceを使えるデバイスが比較的新しいモデルに限られているのですね。



とはいえ、デバイス内で処理できない複雑なリクエストもあり得ます。この場合はインターネット経由でサーバーに送られますが、そのやりとりのデータはリクエストを処理するためだけに使われ、処理が完了した後でサーバーから削除されます。情報が収集されることはありません。


○両者の仕組みが違うため、プライバシーを守るよう工夫されている



目的や方針が違うのであって、どちらが良いとか悪いということではありません。ただ、Apple Intelligenceでは、例えば自分のメールやカレンダーなどのプライバシーが保護されるので安心、とは言えると思います。



その一方、Apple Intelligenceは「自分のデバイスのデータ」をもとに答えを生成するので、自分のデバイスにないことをリクエストされると困ってしまいます。本記事冒頭で紹介した「ブロッコリーのレシピ」は、自分のデバイスのデータでは処理できなかった例です。そこで、このような場合にはリクエストをChatGPTに渡せるように設計されています。



しかし前述の通り、ChatGPTに渡せば、そのやりとりがインターネットに流れていき、ChatGPTのサーバーで処理されます。これはApple Intelligenceのプライバシーとは異なる扱いです。



そのため、Apple IntelligenceとChatGPTを連係するかどうかは自分で決めることができますし、連係する場合でも「ここから先はChatGPTとデータをやりとりしますが、いいですか?」と確認を求めるようになっています。



ただし本記事執筆時点では、ChatGPTを提供するOpenAIは「適用法の下に必要とされない限り、リクエストも提供する応答も保存しない」「リクエストをモデルの改善またはトレーニングに使用しない」としています。


【今回の余談】

社内専用のAIを導入する組織が増えてきました。社内文書をもとにして質問に答えるチャットなどです。この場合、回答のもとになるのは広く集められたデータではなく社内文書であり、またインターネットを経由するとは限りません。本記事で紹介したのは、一般に公開されているAIの使用に関してであるとご理解ください。

Apple Intelligenceの具体的な使い方は、次回以降に紹介していきます。それでは次回も、よろしくお願いします。


小山香織 ライター、インタビュアー、翻訳者、トレーナー。Apple 製品やビジネス系アプリケーションなどに関する著書多数。近著に『iPadマスターブック 2024-2025 iPadOS 17対応』(マイナビ出版)。マイナビニュースでは連載「iPhoneユーザーのためのMacのトリセツ」のほか、インタビューや取材記事を執筆。 この著者の記事一覧はこちら(小山香織)

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