ツクツクボウシの「合の手」に規則性 筑波大が発見

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2025年04月23日 16:10  おたくま経済新聞

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ツクツクボウシの「合の手」に規則性 筑波大が発見

 ツクツクボウシの鳴き声には「合の手」と呼ばれる音があることは以前から知られていましたが、その発声タイミングに規則性があることを、筑波大学の研究チームが明らかにしました。


 この研究成果は2025年4月22日、国際誌「Journal of Experimental Biology」に掲載されました。


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■ 「オーシンツクツク」に「ジューッ」と合の手

 ツクツクボウシのオスは、大きな声で鳴くことで知られていますが、実は鳴き声には2つの種類があります。


 一つは「高潮音」と呼ばれるもので、「オーシンツクツク、オーシンツクツク」と繰り返されるリズミカルな音。もう一つは「合の手」と呼ばれ、「ジューッ」と長めに響く鳴き声です。


 2匹のオスを近くに置くと、「オーシンツクツク」に「ジューッ」と合の手を発することは知られていましたが、合の手を発するタイミングについては解明されていませんでした。


 そこで筑波大学で行われた今回の研究では、オスのツクツクボウシを2匹、室内に150cmの間隔で配置し、2019年から2020年にかけて鳴き声を録音する実験が繰り返されました。


 その結果、全23ペアのうち19ペア(約83%)で、一方が「高潮音」を発した直後に、もう一方が「合の手」を発する組み合わせを確認。


 また、「合の手」を安定して発していた個体23匹のうち22匹(96%)で、相手の「高潮音」に続いてすぐに「合の手」を発しているという規則性が発見されました。


 研究チームはこの鳴き方のタイミングの分析に「位相差」という手法を導入。すると22匹の平均位相差は0.46πと、ほぼ「高潮音」の直後に「合の手」が重なることを示しました。


■ 合の手の役割は?

 さらに研究では、「ツクツクボウシは、ランダムに鳴くよりも効率よく相⼿の鳴き声を邪魔するように合の⼿を発している」という仮説も検証されました。


 そこで実験データと、「合の手」をランダムに発した場合のシミュレーションを比較したところ、仮説が支持される個体は23匹中わずか2匹(8.7%)とごく少数であることが判明したそうです。


■ 縄張りや繁殖との関係性は?

 今回の研究により、「一方が高潮音を発すると、もう一方がその直後に合の手を入れる」という「鳴き方の時間差に関する規則性」が新たに発見されました。


 しかし、「効率よく相手の鳴き声を邪魔している」という仮説を支持する結果は得られておらず、今後はこの鳴き方の規則性が、繁殖行動や縄張り維持にどのように関与しているのかについて、さらに詳しい検証が期待されます。


 本研究を主導したのは、筑波大学大学院システム情報工学研究科博士前期課程2年(研究当時)の石丸貴大氏で、合原一究准教授の指導のもとで行われました。研究成果は、「Temporal structure of two call types produced by competing male cicadas(オスのツクツクボウシが発する2種類の鳴き声の時間領域での規則性)」と題して報告されています。


<参考・引用>
筑波大学・プレスリリース「規則的に合の手を発するツクツクボウシの鳴き方を発見

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025042306.html

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