江藤拓農林水産相 農林水産省は23日、政府備蓄米の追加放出に向け、3回目の入札を開始した。25日に締め切り、2023年産米10万トンを売り渡す集荷業者を決める。これまで2回に分けて計21万トン分の入札を行ったが、流通する地域や事業者が偏ってしまう課題が浮上。今回の入札に当たり、同省は地方や小規模事業者まで「枝葉広く」(江藤拓農水相)届けるために卸売業者間の転売を認めた。
卸売・小売業者の団体は先週、農水省のヒアリングに対し、取引実績のない業者からは仕入れられない商慣習が壁となり、備蓄米が行き届かない地域が生まれていると報告した。このため、同省は小売価格を抑えるために設けた転売禁止のルールを変更。流通ルートが広がると期待され、江藤氏は「より枝葉広く流通させることが可能になる」と述べた。
ニッセイ基礎研究所の小前田大介准主任研究員は、転売を容認した効果について「地域偏在がどうなるかは不透明だ」と指摘。今後の小売価格に関しては、「初回放出分も価格に反映されない中、流通のスピード感が問題だ」と、価格抑制には時間がかかる可能性があるとの見方を示した。
農水省によると、今月7〜13日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は4217円と、過去最高値を更新した。15週連続の値上がりで、備蓄米放出の効果は今のところうかがえない。これに対し、江藤氏は「責任を重く感じており、申し訳ない」と陳謝した。