映画『ホウセンカ』場面写真 『オッドタクシー』を手掛けた木下麦と此元和津也のタッグによるオリジナルアニメ映画『ホウセンカ』が、2025年秋に公開されることが決定した。小林薫と戸塚純貴がW主演を務め、満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧を共演に迎える。発表に伴い特報とティザービジュアルがお披露目となり、キャストと木下、此元からコメントも到着した。
『ホウセンカ』は、予測不能なストーリーで話題をよんだオリジナルTVアニメ『オッドタクシー』を手掛けた、木下麦(監督・キャラクターデザイン)と此元和津也(原作・脚本)のクリエイタータッグによるオリジナルアニメ映画だ。国内外の映画祭で注目を集めた『映画大好きポンポさん』や『夏へのトンネル、さよならの出口』のCLAPが制作を担当する。
独房で孤独な死を迎えようとしていた無期懲役囚の老人。彼に「ろくでもない一生だったな」と声を掛けたのは、人の言葉を操るホウセンカだった。“会話”の中で、老人は自身の過去を振り返り始める。はたして、死にかけのヤクザが起こす大逆転とは。『セトウツミ』を手掛けたマンガ家であり、脚本家としても活動の場を拡げる此元が書き下ろした、ある男の愛の物語が描かれる。
主人公の男・阿久津実の過去と現在は、名優・小林薫と本作が声優初挑戦となる若手実力派俳優の戸塚純貴がW主演で演じる。その阿久津のパートナー・永田那奈役は満島ひかりと宮崎美子が担当し、謎に包まれた言葉を話すホウセンカの声をピエール瀧が吹き込む。
また作中の音楽は、音楽的快楽とストーリーテリングの巧みさを併せ持ち、若者から大人まで圧倒的な指示を得るバンド・ceroが担当する。各個人がコンポーザー/プロデューサーでもある、メンバーの高城晶平(Vo, G, Flute)、荒内佑(Key)、橋本翼(G, Cho)ら3人による音楽も話題必至だ。
このたび公開された2枚のティザービジュアルは、月明かりの中にひっそりと佇むホウセンカと、太陽の下で伸び伸びと咲くホウセンカが対象的に描かれたもの。「大逆転だ」「笑わせんなよ」と、シンプルながらも強烈なインパクトを放つコピーが刻まれている。はたして、これらの言葉が意味するものとは。
デザイナーの大島依提亜がアートディレクションを担当し、イラストはkigimuraが手掛けた。印象的な夜のシーンと、陽の光を浴びたホウセンカが繊細に描き下ろされ、詩的で美しいビジュアルが作品の世界観を見事に表現している。
そして特報映像では、独房内の老人と決意を胸にした青年が共通して「大逆転」という言葉を口にする姿が映し出される。最後のシーンでは謎に包まれた、言葉を話すホウセンカが登場するのも本編への期待を誘ってくれる。
このほか本作が、「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」の長編コンペティション部門に選出されたことも明らかになった。本作は昨年開催の「アヌシー国際アニメーション映画祭2024」においても、制作進行中のプロジェクトについて監督自らが作品を語るプログラム「Work in Progress」に選出されていた。
その際は木下監督、プロデューサーでありCLAPの代表取締役である松尾亮一郎、コンセプトアートを担当するミチノク峠の3人が登壇し、当時制作中だった本作の展望を語るトークステージを行った。ついに完成を迎えた本作が、長編コンペティション部門において満を持して初披露され、国内外から大きな注目を浴びることになりそうだ。
『オッドタクシー』を手掛けた木下麦と此元和津也のタッグによるオリジナルアニメ映画『ホウセンカ』は、2025年秋に公開される。今後のさらなる続報を楽しみに待ちたい。
<以下、コメント全文掲載>
小林薫
阿久津役は、ピエールくんと二人のみでの収録でした。終えて家に帰っても切替えられず、頭の中もボーとしてえらく疲れていたのを覚えています。 翌日の収録でピエールくんにその事を話すと、彼は収録地の赤坂から渋谷までなんと歩いて帰ったそうです。
彼なりのクールダウンだったと思います 。そんな充実感と疲労、感動の入り混じった収録でありました。
戸塚純貴
幸せだったと心から言える自分の人生であってほしいと思わせてくれる『ホウセンカ』。
人間臭い阿久津実がとても愛おしくて、アニメーションによって彩られる彼の世界には最後のシーンまで感動しきりでした。
深いことは考えず目の前にいる不器用でまっすぐで人情深い阿久津に身を委ねました。小林薫さんの声色や感情の機微から若かかりし阿久津を想像して、丁寧に言葉を伝えてくれる満島ひかりさんとは本当に心を通わせた気持ちになりながら収録させていただきました。
声優に不慣れな自分は完成を見るのが少し不安でしたが、それを忘れさせてくれる感動がありました。
皆様に早く届いてほしい、是非観ていただきたい映画です。
満島ひかり
胸がきゅっとなる作品でした。
ちょっと渋くて、チャーミングなお話をみて
「愛した記憶があるから私は寂しくないの」と言った
ある先輩のすてきな言葉を思い出しました。
物語の主人公・阿久津さんの静かで不器用なもの語りも
派手では無いけど、とってもすてきでした。
同じく不器用で魅力的な、那奈を演じられて嬉しかった。
宮崎美子
異世界に転生でもしないかぎり人は今ここで自分にできることに命をかけるしかないから、こんな風に愛されたら、精一杯生きていこうという気持ちになる。信じる、託す、前を向く。できることは少なくても、人は皆そうやって命をつないで来たのだから。
ピエール瀧
そこにいるのか。
本当はいないのか。
喋るホウセンカという不思議なキャラクターの声を担当させていただきました。
小林薫さんと2人きりのアフレコという贅沢な時間を体験させていただいたことに感謝です。
木下麦(監督・キャラクターデザイン)
空の青さの美しさとは、日を浴びた葉の色の美しさとは、人を想う意義とは。美と儚さと幸せの価値観とそれが人に与える影響を改めて見つめ直し、揺れ動く生活の中で生きる生き物の底力を、原点に立ち帰る気持ちで表現しました。沢山の人に観ていただきたいです。
此元和津也(原作・脚本)
報われない人生にも、祈る自由はある。それが届くかどうかはわからないけれど、それでも信じてみたくなった。『ホウセンカ』は、帰る場所をなくした男と恋人の空白へ、その花が静かに割って入り、止まった言葉を芽吹かせる物語です。この花が咲くまでには、幾つもの沈黙と、たったひとつの祈りがありました。長い沈黙と祈りの先で灯る小さな確信が、あなたの胸にもそっと種を落とすことを願います。
『ホウセンカ』
2025年秋公開
キャスト:
小林薫 戸塚純貴
満島ひかり 宮崎美子
ピエール瀧
監督・キャラクターデザイン:木下麦
原作・脚本:此元和津也
企画・制作:CLAP
音楽:cero/高城晶平 荒内佑 橋本翼
配給:ポニーキャニオン
(C)此元和津也/ホウセンカ製作委員会