何気ない日常空間に、ぽっかりと異次元への入口が開いていたら…… そんな妄想が大阪のど真ん中でひっそりと現実になっていました。
梅田の大型商業施設「HEP FIVE」にあるゲームコーナーの一角に、秘密のバーがオープン。フロアにたくさん並んだプリントシール機(プリ機)の1つが、その入口になっているというのです。半信半疑で行ってみたら、想像を絶する体験が待っていました。
気になるバーの名前は「JANAI GAMES(ジャナイ ゲームス)」。お店のInstagramアカウントのプロフィール欄に描かれた所在地は「HEP FIVE(ヘップ・ファイブ) 9Fのどこか」と一言だけ。投稿一覧には、ゲームコーナーの写真がいくつものパーツに分かれて掲載されています。
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「HEP FIVE」とは、大阪の中心部・梅田にある大型商業施設。観覧車もあり、人気観光スポットとして大勢の若者たちで賑わっていますが、全体的にポップで明るく、その中にバーがあるようには思えません。はたしてその正体やいかに……。行って確かめることにしました。
まずはエントランスに入り、フロアガイドを見ることに。Instagramで案内されていた9Fにはゲームコーナーと書かれていますが、バーの名前らしきものは見当たりません。
9Fに上がると、そこには一面のアーケードゲームとプリ機が。大勢の若いカップルたちがキャッキャと楽しそうに遊んでいます。42歳男性の記者にはアウェー感満載。
こんなところを一人でうろついて怪しまれないだろうか……とビクビクしつつ、このフロアのどこかにあるというバーの入口を探しますが、分け入っても分け入ってもプリ機。どれを見ても、何ら変わったところは見当たりません。この中のどれが入口なのでしょうか。
探すこと数分。1台のプリントシール機にたどり着きました。一見ごくごくありふれた姿に見えますが、よく見ると表のファサードの文字が「PURIKURA SWITCH」ではなく「PURI●URA SWITCH」になっていました。伏せ字を飛ばして読んでみると「プリ裏 スイッチ」となります。これはもしや……。
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ファサードをめくり、プリ機の中に入ると、何やら意味深なドアとナンバーキーが出現。ここがどうやら秘密のバーに通じる入口のようです。
お店のInstagramに書いてあった秘密の番号をナンバーキーに入力すると、ドアがオープン!
賑やかなゲームコーナーからは想像もつかない、洞窟のような細く狭い通路が出現しました。まさにリアルダンジョンの様相。サカナクション「怪獣」のMVを思い出します。途中で壁がせり出して挟まれたりしないでしょうか。
ドキドキしながら通路を進んでいくと、重厚な扉が現れました。扉の上には「JANAI GAMES」の文字。まるで夢でも見ているような秘密基地感にドキドキ胸が高まります。いざ……
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扉を開けると、巨大なバー空間が広がっていました。焦げ茶色のシックな色合いに包まれた内装で、BGMにはおしゃれなラウンジミュージック。表の賑やかなゲームコーナーからは想像もつきません。
カウンターには、2次元から出てきたかのようなイケメンバーテンダー。ファンタジックな風景にいっそうドキドキします。バーというものに行き慣れていない記者、若干挙動不審気味になりながらも勇気を出してカクテルを注文します。
提供されているのは「モクテル」という、ノンアルコールカクテル。野菜や果物、コーヒーなどを組み合わせて、他ではなかなか体験出来ないような珍しい味が楽しめるそうです。
メニューには、甘さやユニーク度(!)に応じたチャートが描かれていて、カクテルに詳しくない初心者でも選びやすいようになっています。
まずは「レッド・クラブ・サワー」(税込1200円)を注文。リンゴとクランベリーの華やかな風味にトマトの甘みとコク、コーヒーのビターな香りを合わせて仕上げるカクテルとのこと。
出てきたカクテルは、グラスの半分を埋め尽くすたっぷりの泡と、淡いオレンジ色のドリンクの二層構造。白くきめ細かな泡の上にはトマトのピューレとレモングラスが添えられています。
その様子はまるで、明るい夜空に浮かぶお月さまと雲のよう。う〜ん、オシャレ!!
味は、オレンジの風味をベースにしながら、そこにトマトの酸味と旨味が乗っかり、最後にベリーの香りへとグラデーションしていく不思議な感じ。バーの非日常な雰囲気も味方して、ノンアルコールなのに、ふわふわした心地よい気分に包まれます。
ここでバーテンダーさんが「実はこの中にもうひとつ、隠しメニューがあるんです」と一言。
「目の前のどこかにあります」というヒントを頼りに探し出すと……ありました。場所はこれから訪れるみなさんのために秘密にしておきますが、「え、こんなところに?」という意外なところに隠れています。
こちらが、隠しメニューを見つけた人だけが頼めるカクテル「ペップ・ミー・アップ」(税込1500円)。コンセプトは「飲めるティラミス」。バーテンダーさんが勢いよくシェイカーを振り、モコモコの泡になったミルクとショコラを2層に重ねます。
仕上げには色鮮やかなエディブルフラワーと、なんと金箔をトッピング。大人のラグジュアリーな雰囲気満載です。
スプーンですくって一口なめると、泡が舌の上でゆっくりほどけて、深呼吸するような深さでショコラの香りが口いっぱいに。紛れもなく飲み物なのに、本物のティラミスを食べているかのような舌触りです。不思議! 40代の記者ですが、大人の階段をさらに一段のぼった気分になりました。
カウンターの隣席では、他のお客さんがバーテンダーさんと親しげに話す光景が。すでに入り方を知っている人の中には、常連さんになっている方も多いそうです。行きつけの秘密バーがあるって、カッコいい……。
夢のようなひとときはあっという間。東京からの出張に合わせて立ち寄っていた記者、帰りの新幹線の時間が迫ってしまいました。
最後に店内を見回すと、ここにもプリ機が。まさか、さらに秘密の入口が? と一瞬色めき立ったのですが、スタッフさんいわく「こちらはごく普通のプリントシール機」だそうです。
スタッフさんに案内していただき、これまた秘密の出口から外へ。一歩出ると、それまでのラグジュアリーな雰囲気は一瞬にして消え、殺風景なバックヤードに通じていました。
最後の最後まで、狐につままれたような気分……。竜宮城へ行った浦島太郎もこんな気分だったのかな、と、つかのまの非日常を噛みしめるのでした。
「JANAI GAMES」は、梅田HEP FIVEの9Fの「どこか」にあります。営業時間は14時から22時までで、最終入場は21時まで。入店にあたってはお店のInstagramに記載されている案内リンクから事前予約が必要で、テーブルチャージ(税込500円)とワンドリンク以上の注文が必須です。
日常のふとした場所に隠れている秘密のバー、あなたも出かけてみてはいかが?
<参考>
JANAI GAMES Instagram(@janai_games)
※記事化は許可を得て行っています。
(天谷窓大)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025042701.html
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