
世界のカトリック教徒14億人のトップだった、266代教皇フランシスコ。
1936年にアルゼンチンで生まれ、清貧を貫き、大司教になっても地下鉄やバスでスラム街に通い、遺体を納める棺も簡素なものを希望しました。
保守派の教皇が多いなか、フランシスコは“改革派”で、「伝統は前進する」が信条。カトリックでタブーとされてきた同性愛をめぐり、司祭による「祝福」を認めると宣言。教会の新たな姿を示しました。
平和を願い、2017年には核兵器禁止条約をバチカンとしていち早く批准。同じ年の暮れには、原爆投下後の長崎で亡くなった幼子を背負う「焼き場に立つ少年」の写真を、カードにして配布するよう指示しました。
2019年には長崎と広島を訪問。“核の傘”への依存を厳しく批判しました。
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一方、移民問題では、中東などからの移民がヨーロッパに押し寄せると、難民が上陸するギリシャを訪問しました。シリア難民12人を、専用機でバチカンに連れて帰りました。
2016年、トランプ氏が「メキシコ国境の壁建設」を掲げたあとには、“壁ではなく橋を築く”よう訴えました。
イスラム世界とも対話も広げ、2019年にはUAEを訪問。アラビア半島を訪れた最初の教皇となったのです。
こうした改革路線は引き継がれるのでしょうか。
「コンクラーベ」で煙突から出る煙の色は…新たな教皇を決める選挙は、5月上旬にもシスティーナ礼拝堂で行われます。世界中から集まった枢機卿は、携帯電話などを預け、外部との接触を断たれます。
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投票の際は、枢機卿以外の関係者は退出。礼拝堂の扉に鍵を掛け、投票は非公開で行われることから、ラテン語で“鍵を掛ける”=「コンクラーベ」と呼ばれます。
投票権があるのは135人の枢機卿。参加者の誰かが3分の2以上の票を得るまで、投票は毎日繰り返されます。決まるまでは全員が宿舎に泊まり込みますが、そこでは枢機卿同士による多数派工作も行われるといいます。
投票が終わったあと、投票用紙はストーブで焼かれますが、当選者がいなければ煙突から「黒い煙」を出します。そして新たな教皇が決まれば、「白い煙」を出して合図をします。
以前はタールを混ぜて黒くするなどしていましたが、今は化学薬品で色分けをしています。
教皇のラテン語名「(Summus)Pontifex(ポンティフェクス)」は、(最高位の)「橋」を「作る」ものという意味です。新たな教皇も、分断する世界の架け橋になることができるのでしょうか。
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