日米、自動車安全基準に違い=「事実誤認」正し、合意模索へ

0

2025年04月29日 08:01  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

 日米関税交渉は、30日に担当の赤沢亮正経済再生担当相が訪米し2回目の協議が行われる予定だ。米国側が「非関税障壁」と問題視する日本の自動車安全基準も議論となりそうだが、話題を呼んでいるのはトランプ米大統領が「非関税措置による不正行為」と名指しした「日本のボウリング球試験」。赤沢氏は事実誤認には「訂正の努力をする」と話すが、何が問題となっているのか。

 トランプ氏は米ワシントンで16日行われた初回の閣僚協議に先立ち赤沢氏と面会し、日本で米国車が売れていないことに直接不満を示したという。20日にはSNSで各国による為替操作や自動車安全基準などを「不正行為」と非難し、「日本のボウリング球試験」にも触れた。同氏は過去にも車体にへこみができると不合格になると同試験を批判したことがある。

 国土交通省の関係者は「人間の頭部を模したダミーの球体を、決まった速度と角度でボンネットに衝突させ、歩行者を保護するための衝撃吸収能力を調べる試験はある」と説明。一方で「ボウリングの球を使うことはない」と指摘した。

 日本は、新たな車の安全基準への適合性を量産前に審査し、「型式指定」を受ける認証制度を導入。対して米国は連邦政府独自の安全基準はあるが、新車を事前に審査するような認証制度はない。また、日本は道幅が狭く歩行者との接触の危険が大きい交通環境を踏まえ、「歩行者保護」の基準が重要視されるが、広大な道路が多い米国では同様の基準は設けられていないという。

 日本固有の認証制度というわけではなく、国連で策定した43の基準に基づいている。実際、同じような制度を持つ欧州連合(EU)などとは相互認証の仕組みを適用。一方の国で認証手続きを済ませれば試験などの重複を省き、費用や手間を削減できる運用となっている。

 国交省幹部は「日本の道路の安全性を脅かすことは避けなければいけない」と強調する。ただ、国際基準と整合性が取れれば検査を簡略化していくことは可能。米国離脱前には環太平洋連携協定(TPP)交渉で、米国車を日本に輸入する際に似たような試験を二重に行わなくて済むよう一部の基準で手続きを効率化した。こうした手続き簡略化は交渉材料の一つとなりそうだ。 

    ランキングトレンド

    前日のランキングへ

    ニュース設定