高齢男性が描いたミャクミャクの図面がSNS上で大きな注目を集めている。
「74歳父がミャクミャクの図面を描きました 72歳からPCとAutoCAD勉強の始めて2年4カ月。この成長を見て欲しい（笑）あと、何十回おなじ事聞かれても、心折れずにリモートで教え続けた自分も地味にすごいと思う」
と件の図面を紹介したのはたぬきさん（@TNS_tanu）。
高さ100、足幅35.2…と言う具合にあの複雑な造形のミャクミャクをおさめたこの図面。これは74歳になるたぬきさんの父親がイラストや、着ぐるみを見て2Dで描いたそうだ。公式に確認したわけではないので実際の寸法からはずれてしまっているかもしれないが、もうすぐ後期高齢者になろうかという人が2、3年の勉強でこれを描けるようになったというのは驚きだ。
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たぬきさんにお話を聞いた。
ーーたぬきさんが指導する前のお父さまのPCスキルは？
たぬき：PCは一応持っていましたが、ソリティアと一応メールは打てるレベル。それもローマ字入力はできないので、ひらがな入力する程度でした。
ーーそれがどんな経緯でCADを？
たぬき：父は65歳で定年退職しましたが、それまで仕事ばかりしていたので、特にこれといった趣味もありませんでした。家をTVを見て、母の内職を少し手伝って、夕方散歩をして料理をして寝る毎日。
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その頃、私が勤めていた会社を辞めてフリーランスとして図面を描き始めました。実家に帰省した時に、私が仕事で図面を描いてるのを、父が後ろから興味深そうにずっと見てて、急に「俺もCAD覚えたら仕事手伝えるか？」って聞いてきました。趣味もないし、友達もほとんどいなくて暇だったんですね。
ーーお父さまの上達ぶり、学びの姿勢はいかがでしたか？
たぬき：「仕事手伝えるか？」と聞かれて、私も深く考えずに気軽に「いいよ」と言うと、すぐCADスクールを調べて、アビバのAutoCADコースに2カ月通って勉強を始めました。3カ月目からは、練習も兼ねて私の仕事を少しずつ手伝ってもらいました。最初の目標は半年後に月に3万円稼ぐことでした。
はじめは、スクールに通った内容も1割ぐらいしか覚えていないようで、基本的な操作やコマンドを覚えられない、何度教えても忘れる。忘れないようにメモをしてもらっても、メモだらけになってメモした場所を忘れる。メモしたことを忘れる。そんな状況で、私が作図すると1〜2時間で終わる内容を、毎日6〜8時間作業して1週間ぐらいかけて描いていました。
ーー粘り強く習得されたんですね
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たぬき：数カ月経つと土日も休みなく、毎日6〜8時間作業。さすがに毎日使うコマンドや操作は覚えるようになりました。月に1回しか使わない操作は忘れてよく連絡をしてきています。最初の半年ぐらいまでは、教えている時間に自分で作図した方が早いという状況でしたが、1年ぐらい経ったころには仕事を手伝ってもらって助かるという状態にまでなりました。1年ぐらいたつ頃には月に5万円ぐらい稼げるようになってとても喜んでいました。
ーー投稿に大きな反響がありました。
たぬき：ミャクミャクの図面がかわいいと思い投稿しましたが、実際には「シニアの学びなおし」「根気強く教える事の大変さ」に対するコメントがたくさん届き同じような思いの人が多いのだなと感じました。あと、「図面として成立してない（笑）」「こんな基準線も公差の記載も無いような図面では製作できない」「尺度がおかしい」とかたくさんご指摘をいただきましたが、それだけ図面を仕事にしている人たちのプライドを感じました。関心と賛否があったから、投稿が伸びたのかと思うと感謝です。
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SNSユーザー達から
「曲線も綺麗に描けてて、寸法も見やすくて良いですねぇ。 しかも拡大図まで（笑） 何だろう・・・こうやって細かく見てたら、ミャクミャクさんも 可愛く見えてきました・・・」
「AutoCADは、敷居が高いですよね、72才からはすごいですね。自分なんかLT95から使っていますが、知らない機能ばかりで常に勉強ですね。3Dは同じく自分の限界を超えているようで、難しいです。」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。
なお今回の話題を提供してくれたたぬきさんは図面データを無料でダウンロードできるサイト「CAD素材.com」を運営。建築系の図面を描く時によく使われる人物や家具家電、車などを、街中で撮った写真やメーカーカタログを地道にトレースして作成したデータ集だ。掲載している無料データの多くを父親が作図しているそうなので、ぜひ多くの方にご利用いただきたい。
（まいどなニュース特約・中将 タカノリ）
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