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2024年8月に神奈川県厚木市の貴金属店がハンマーを持った2人組に襲われる事件があり、その1人で強盗傷害などの罪に問われた19歳男性の裁判員裁判の判決が30日午前、横浜地裁小田原支部で言い渡される。
母子家庭に育ち、周囲に母思いで知られていた若者が「闇バイト」への応募をきっかけに起こした凶悪事件。その罪はどう裁かれるのか。
起訴内容などによると、男性は24年8月31日正午過ぎ、数人で共謀して神奈川県厚木市の貴金属店に侵入。ショーケースをハンマーでたたき割るなどし、腕時計やネックレスなど130点(計約8425万円相当)を奪った。
さらに店から逃げる際、自分を取り押さえようとした通行人の頭部をハンマーで殴り、2週間のけがをさせた。
今月15日に始まった公判で男性は起訴内容を認めた。そして「軽率な行動で事件を起こした。これからは善悪の区別をつけていく」と反省の弁を述べ、「母親に申し訳ない」と涙を見せた。
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公判では事件に至る経緯も明らかになった。
男性は高校卒業後、就職で北海道旭川市の親元を離れ、上京。ほどなくして夜遊びやパチンコで借金を背負い、交流サイト(SNS)を通じて、物を運搬する「運び」の闇バイトに応募した。
事件当時は4人の指示役から代わる代わる命令を受けながら、初対面の数人と神奈川県内や埼玉県内を車で移動。約16時間にわたって事実上の「監禁状態」に置かれた末に「感覚がおかしく」なり、ハンマーを手に貴金属店に押し入ったとされる。
そんな男性に対し検察側は懲役10年を求刑。「高収入欲しさに、犯行に主体的、積極的に及び、引き返せるタイミングがあったのにしなかった」と厳罰を求めた。
一方、弁護側は事実関係は争わないとしつつ「責任を負うのは指示役だ」として、保護処分の少年院送致で矯正教育をすべきだと訴えた。
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弁護側の証人として男性の母親も出廷した。
「事件を知って、私の知っている息子とつながらなかった……」と泣きながら証言し、母子家庭を支えてくれた「優しい息子」とかばった。【宮本麻由、矢野大輝】
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