筆者の愛車でアイリスオーヤマの「ハンディリンサークリーナー(RNS-B200D-HW)」の実力を検証してみました 車で遠出するのにぴったりの季節がやってきました。お出かけ前には、洗車して愛車を綺麗な状態にしておきたいという人も多いでしょう。しかし、盲点となるのが車の中の掃除です。車のボディのように水洗いが難しいため、ほこりを払ったり、ハンディクリーナーをかけたり、最低限の掃除しかできていないのではないでしょうか。そこで活躍するのが、リンサークリーナーです。手軽に水を使った染み抜きや洗浄ができる掃除機器は、使い勝手のよさからじわじわと人気を広げています。
その他の画像はこちら アイリスオーヤマのリンサークリーナーはAmazon.co.jpなどでもベストセラーになっており、ユーザーから高い信頼を得ています。同社によると、2024年11月30日時点でシリーズ累計販売台数は125万台を突破しているとのこと。
リンサークリーナーは相応のパワーが求められることもあり、サイズが大きく、電源を確保しながら使用するものが主流となっています。しかし、アイリスオーヤマはそうしたスタンダードモデル以外に、コードレスで使えるコンパクトモデルも揃えており、車の近くで電源を確保できない人や置き場所に困っている人にとっては貴重な選択肢になっています。
今回、同社のラインアップの中で、もっともコンパクトな「ハンディリンサークリーナー(RNS-B200D-HW)」を筆者の愛車の清掃に使い、実力を検証してみました。小さなボディでどれだけの清掃力を発揮するのか、注意すべき点があるのかなど、様々な視点からチェックしていきたいと思います。
●コンパクトなサイズだから、誰でもどこでも使える
リンサークリーナーは汚れた布製品などに清潔な水を吹きかけて、その水を吸引することで汚れの元を除去する仕組みの掃除機器です。つまり、(1)水を吹きかける(2)水を吸引するという二つの工程が発生することになります。
そのため、多くのモデルは事前に(1)のためのきれいな水をためておくタンクと、(2)の汚れた水をためるタンクの二つを搭載しているケースがほとんどです。一方、今回レビューするRNS-B200D-HWは、(2)の汚れた水をためるタンクのみを搭載しており、その分、サイズがコンパクトです。
水を吹きかける工程が省略されるわけではないので、そこは本体とは別に霧吹きなどを用意する必要があります。今回のレビューでは、除菌&消臭効果のあるリンサークリーナー専用洗浄液(約460ml、880円前後)を使用しました。なお、落ちにくい汚れには温水(40℃まで対応)を用いるのも効果的なようです。
●小さくてもパワーは十分!染み跡も残らない強力吸引
多くのリンサークリーナーは、本体にバキュームホースを取り付けて、水を吹きかけたエリアを吸引する機構を採用していますが、RNS-B200D-HWは平面な場所であれば本体をそのまま押し当てて使えます。
もっとも、ホースも付属しており、こちらであれば壁面や天井なども清掃できます。どちらも性能は変わらないのですが、取り回しやすさを重視して筆者は基本的にはホースを付けた状態で使用しました。
検証では、座席にコーヒーをこぼし、その汚れがどれだけ綺麗に落ちるのか、試してみました。部分的にこぼすつもりが、車のシートはやや後ろに傾斜があるので、思った以上に広範囲にコーヒー染みが広がってしまいました。隙間にできた染みなどは奥まっているので、跡が残らないか心配ですが、果たして・・・。
掃除するときは前述したように、対象エリアに水を吹きかけます。生地の奥に染みた汚れも吸い出すために、たっぷりと水を吹きかけるのがポイントです。また、遠い距離からまんべんなく吹きかけると、無駄に広範囲がびしょびしょに濡れてしまうので、近距離から狙ったエリアに限定して吹きかけるのがコツです。
水の吹きかけ終わったら、いよいよリンサークリーナーで汚れを吸い上げていきます。本体の持ち手にあるトリガーが電源になっており、そちらを握ると吸引できる状態になります。ホースの先端の吸引口を対象エリアに押し当てて手前に引くと、吹きかけた水が勢いよく吸い込まれていきます。
吸引口はカバーが透明なので、水が吸い上げられている様子がよく分かります。その水を見ると、色はしっかりと茶色!こぼしたコーヒーを吸い上げている実感が得られました。ピンポイントの汚れには同じ場所を数回にわたって吸引するのがおすすめですが、ちょっとした汚れであればみるみる綺麗になります。
今回の検証では、車のシートがベージュだったため、コーヒー染みが分かりにくくなってしまったのですが、それでも吸引した場所とそうではない場所の色の違いははっきりと見て取れました。
●見た目はきれいでも掃除してみると…車中の汚れは想像以上
コーヒーの染みを綺麗に落としたあと、せっかくなのでシート全体にも水を吹きかけて清掃しました。見た目にはそこまで汚れて見えなかったのですが、たまった水を見ると想像以上に濁った色をしていて驚きました。車はドアや窓を開けたときに砂埃などが入ってきやすいとはいえ、これだけ汚れた場所に日々座っていると思うと、なかなかゾッとします…。
なお、使用後に注意したいのは、水を吹きかけたエリアをリンサークリーナーで吸い上げても、湿りはすぐには取れないことです。半日程度は乾燥のための時間が必要です。
出発前に全体を掃除すると、座席がびしょびしょのままドライブに行くことになってしまいます。少しでも早く乾燥させたいのなら、新聞紙を敷いたり、少し窓を開けておいて換気したりするのがよいでしょう。
ちなみに車の汚れは座席シートだけでなく、天井にも染みついています。バキュームホースを使えば壁など垂直な場所だけでなく、天井の掃除もできるので、車をきれいにするならばぜひ試してみることをおすすめします。皮など水と相性の悪い素材には対応していないため、その点は注意しましょう。
RNS-B200D-HWはコンパクトなので、車の中に入れてお出かけに持っていくこともできます。子どもが車の中で飲み物をこぼした、ペットが車中で粗相をしたなどの状況が発生した際には「持ってきてよかった!」と安心するはずです。
RNS-B200D-HWに難があるとすれば、バッテリーの駆動時間です。1回の充電には約4時間かかり、連続駆動時間は約10分。突発的に発生したアクシデントに対応するには十分ですが、広い範囲をがっつり掃除するには少し心もとない時間です。
今回のレビューでも前方座席・後方座席・天井のすべてをきれいにしようとすると、途中でバッテリーが切れてしまい、再度充電してから続きを行うことになりました。もし家中のソファやカーペットを掃除することをメインに考えているなら、コードレスではないタイプを選んだ方が無難です。
また、お出かけに持っていきたい場合も、前日にしっかりとフル充電してから車に詰め込む方がよいでしょう。せっかく持ってきたのにバッテリーが切れていて使えない…となればショックは大きいので、気を付けるようにしましょう。(フリーライター・小倉 笑助)
■Profile
小倉笑助
家電・IT専門メディアで10年以上の編集・記者経験を経て、現在はフリーライターとして家電レビューや経営者へのインタビューなどをメインに活動している。最近は金融やサブカルにも執筆領域を拡大中