大阪府八尾市でコンクリート詰めにされて遺体で見つかった女児が生前に住民票を削除されていた問題で、府は4月30日、府内の15自治体が国の指針に基づいた情報共有体制などを整備できていなかったと明らかにした。事件を受けて政令市の大阪、堺両市を除く41市町村に調査していた。
八尾市の事件で死亡した岩本玲奈さんは生存中の2004年、親族の申告に基づき市に住民票を削除された。「職権消除」と呼ばれる手続きで、行政は存在を把握できなくなった。玲奈さんはその後に叔父の飯森憲幸被告(41)=傷害致死罪などで起訴=から暴行を受けたとされ、06年12月〜07年1月に6歳で死亡した。
国は15年、子どもの所在確認方法の強化について通知を出している。この中で住民票の削除後も庁内の関係部署で連携し、子どもの所在確認を進めるよう自治体に要請。別の自治体で暮らしている可能性も視野に、必要があれば他市町村との情報共有も求めていた。
府がこの通知に基づいた体制が取れているか尋ねたところ、15自治体は通知の内容に対応できておらず、今後整備を進めていくとした。
府によると、通知が出された15年以降に住民票が削除された小学生以下の子どもは計51人いたが、いずれも所在は確認されているという。府家庭支援課は「児童の安全を確保するうえで、改めて指針の徹底を求めていく」としている。
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吉村洋文知事は「今回の調査をきっかけに体制を整える自治体が出てきたことは、再発防止という点で大きな意味があった」と語った。【斉藤朋恵、大坪菜々美】
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