画像提供:マイナビニュース『小学校受験で試されるのは子供ではありません。家族です』――ふたりの子を持つワーキングマザー・新田茜は、中学受験の過酷さを知り、小学校受験に興味を持つように。仕事と家庭の両立、協力してくれない夫、かさんでいく教育費…。「子どもの将来にできる限りの可能性を与えたい」――はじまりはそれだけだったはずなのに…。
小学校受験をめぐる家族の光と闇を描いた、外山薫さんの新時代文学を、本作がデビュー作・初連載作となる漫画家・たちばな豊可さんがコミカライズした『君の背中に見た夢は』(KADOKAWA刊)。読めばさらに面白くなる、著者のインタビューをご紹介します。
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原作者・外山薫さんインタビュー
――『君の背中に見た夢は』コミカライズ1巻の刊行、おめでとうございます。コミカライズの話を聞いたとき、どう思われましたか?
小学校受験という非常にニッチで狭い世界なので本当にニーズはあるのかと不安でしたが、漫画はリーチ力があるメディアで、小説とは違う届き方をしそうで面白そうだなとも思いました。
――コミカライズへの、ファンの方の反響はいかがですか?
小説では主人公の新田茜の一人称で物語を展開しているのですが、漫画版では群像劇となっており、小説ではあまり触れなかったそれぞれのキャラクターの背景を掘り下げているという点が面白いという声が届きます。
――改めまして、本作(原作)を書かれたきっかけ、小学校受験をテーマに選ばれた理由を教えてください。
デビュー作で東京に住む新興エリート層の象徴として湾岸タワマンと中学受験をテーマとして扱ったのですが、より意識が高い層は中学受験ではなく私立小学校を選んでいるという話を友人から聞き、これは普段あまり見ない世界で面白そうだなと思い選びました。
――小学校受験についての調査や取材はどのようにされたのでしょうか?
最初に本を数冊読んで概要を掴んだ上で、実際に小学校受験を経験された親御さんや塾の講師などに取材して具体的な話を積み重ねるようにしました。受験校などの選定もリアリティを出すため、小学校受験のインフルエンサーの方に相談しています。
――本作(原作・コミカライズともに)を通して、伝えたいことは何でしょうか?
子どもを有名校に入れれば「勝ち」といった単純なものではなく、子育てをする上で何が大切なのか、幸せとはなんなのかというのを突き詰める上で小学校受験というテーマは非常に面白いと思っており、読者の皆さんが考えてるきっかけになればと思います。
――原作者の外山さんから見て、本コミカライズの魅力はどんなところですか?
なんといってもたちばな豊可先生の美麗な絵と、細部まで手を抜かないこだわりは小説では再現できない漫画の魅力だと思います。また、ただのコミカライズではなく、オリジナルの話がふんだんに盛り込まれており、物語に厚みと深みが出ており原作者冥利に尽きます。
――コミカライズ版を読む読者の方へ、メッセージをお願い致します。
小学校受験という極めて狭い世界の話ではありますが、実際に取材や執筆を通じ、子育てという観点で様々な気づきを得られる興味深いテーマでした。小学校受験に興味がある人はもちろん、別世界の話だと捉えている人にも是非読んで欲しいです。
漫画家・たちばな豊可さんインタビュー
――『君の背中に見た夢は』コミカライズ1巻の刊行、おめでとうございます。コミカライズの経緯について教えてください。
ありがとうございます! マンガ家としての初連載、初単行本で感無量です!
COMITIA(一次創作同人誌即売会)にサークル参加したところ、自作の同人誌がKADOKAWAの編集さんの目に止まり、お声がけいただきました。マンガ家アシスタント、講師、イラストレーターとして仕事はしていましたが、マンガ家になることが子どもの頃からの夢で。まさか四十歳を超えてデビューできるとは思いませんでした。長年マンガを学び、趣味でも描き続けてきてよかったです。
――原作を読んだ感想を教えてください。
大変面白く拝読しました! お受験を取り巻く不穏さにぞわぞわしましたが、「我が子をいい環境におくためならなんでもする」という茜さんたちの気持ちや行動には共感ばかりでした。ぐいぐい読ませるスピード感と読後感の爽やかさにも救われました。
――コミカライズするうえで、こだわった点、注目してほしい点、苦労した点はありますか?
富裕層の華やかさなどを視覚化するために、背景と衣装は大事にしています。背景作画はアシスタントさんに依頼しているものの、私自身がアシスタント歴が長いこともあり、資料集めは毎回時間をかけてしまいます。原作内では明示されていない場所や服装なども描く必要があるので、小受経験者のお知り合いにも話を聞いたりしてなんとか調べています。
「誰も見てない」と言われがちな部分かもしれませんですが、リアリティを感じる作品作りのためには必要不可欠だと思っています。
人物描写の面では、キャラの表情が豊かになるように、どこかしら品の良さが出るように、と意識はしています。感情が強く出る表情を描く時が一番難しいですがほんとに楽しい! 麗佳さんが初めて豹変した時の顔は、いい顔に描けた! と自画自賛しております。
――原作からアレンジした点、工夫したところなどあれば、教えてください。
実は……3人子持ちで講師もしている私でも描けるようにと、編集さんが原作からの構成変更を請け負ってくださっています。前半、茜の同級生との会合を、京子さん親子とのおうちランチに変更して、自然と結衣に小受問題を解かせて素質が見える描写にもっていったところなど、ほんとに見事だなと思いました。
麗佳さんと寛子さんの描写追加にあたっては、この二人の複雑な心情を紐解くのに、編集さんにいろいろアドバイスいただきました。そこから導き出した二人の人間味のある表情は、原作にはない見所ポイントかと思います。
キャラクターデザインは、原作の外山先生から詳細設定と既存イメージを伺ってからデザインしましたが、3人のママ、その子ども達が1コマにそろった時にもキャラかぶりのないように調整しました。顔の描き分けも意識しています。子どもたちの愛らしさも楽しく描いているので、貴重な癒やしポイントと思ってもらえたら嬉しいです。
――お気に入りのシーンを教えてください。
どのシーンも思い入れがありすぎて選ぶのが難しいのですが、初めての幼児教室で大道寺先生に諭されるシーン、「その振る舞いは結衣さんに失礼です」からの「あなただって中途半端な気持ちで働いているわけではないでしょう」の流れが好きです。この先生は幼児のことも働く母親のことも尊重している。その言葉は私にも嬉しくて。茜さんに大きく響いたんじゃないかな、と思って描きました。
――お子様が3人いらっしゃるとのことですが、小学校受験や中学校受験をされていますか?もしくは考えたことがありますか?
上の子が中学受験しました! 関西なので関東のそれとはレベルが違うかもしれませんがそりゃもう大変で。その体験記をマンガに描き、最終的に100ページ超えの同人誌にまとめてCOMITIAで頒布したことが、このコミカライズとのご縁を繋ぎました!!
かといって、下二人もしようとは決して思いません。子ども自身や環境に問題がなければ地元の中学に通う方がいいと思う派です。小学校受験のことは、存在は知っていましたが、こんな大変な特殊な世界だとは想像もしていませんでした。がんばっているご家庭は尊敬しますね。もし早くに知っていたとしても、うちはしません……試されるのは家族なんでしょう? まず私のせいで落とされます!
――今後の展開で注目してほしいところや、ご自身が描かれるうえで楽しみにしている点があれば、教えてください。
それぞれの闇を抱える母親たちが受験というトンネルをどう進み、どんな出口が待ち受けているのか……乞うご期待です!
作画の面では、原作通りであれば寛子さんの軽井沢の別荘が背景における一番の難所だと勝手に戦々恐々をしています。このためにモダンリビング(ハイエンド向け住宅雑誌)を初めて買いました。
描くのが楽しみなのは、大道寺先生がメガネ(サングラス)を外して笑顔を見せるシーン。それと、終盤の茜さん怒濤の心情ジェットコースターのところです……どこまで感情を込められるか自分の限界に挑戦したいです。
――コミカライズ版を読む読者の方へ、メッセージをお願い致します。
まず読者の皆様に御礼申しあげます! ありがとうございます!!
自分のマンガは「読みやすい」のが強みだと思っているので、すらすら読めて「でも少しぞわっとする」読後感を楽しんでもらえたら幸いです。小学校受験を知ってる人にも、全く知らない人にも「育児」について考えるきっかけにしてもらえたら。そしてより心をえぐってくる原作もぜひ読んでください!今後とも四十路の新人マンガ家をお手柔らかによろしくお願いいたします。
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○『君の背中に見た夢は』(たちばな豊可(漫画)、外山薫(原作)/KADOKAWA)
『小学校受験で試されるのは子供ではありません。家族です』
大手化粧品メーカーで働く新田茜は、ふたりの子を持つワーキングマザーだが、中学受験の過酷さを知り、小学校受験に興味を持つように。
テレビ局記者の夫を持ち、世間的にはパワーカップルと呼ばれる茜たちだが、お受験の世界はさらに上の富裕層との戦いだった。
仕事と家庭の両立、協力してくれない夫、かさんでいく教育費…。「子どもの将来にできる限りの可能性を与えたい」――はじまりはそれだけだったはずなのに…。
そして、お受験塾で知り合ったママ友たちもまた、それぞれの地獄を抱えており――?
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