フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビは30日、中居正広氏の元女性社員への性暴力に端を発する一連の問題を受け、再生・改革へ向けた8つの改革施策を発表した。詳細は以下の通り。
(1)人権ファーストの徹底と仕組み作り 役員、社員ともに人権意識が希薄であるとの指摘に対応するため、人権ファーストを体現する組織体制にする。取締役会の下に、独立性の高い社外出身の取締役がトップの「リスクポリシー委員会」を設置し、人権リスクを含む執行側のリスク対応全般を監督する仕組みを導入。また、「サステナビリティ経営委員会」を設置し、外部アドバイザリーボードによる助言を踏まえつつ、日々の経営の意思決定に常に人権方針が反映され、人権DDが適切に継続される仕組みを作る。
(2)人権侵害、ハラスメント被害者の保護 社内のコンプライアンス部門や相談窓口の信頼性を強化するための対策を講じる。従来の相談窓口を見直し、第三者委員会からの指摘と助言の下、外部弁護士に直接相談ができる窓口を新設。また、臨床心理士によるメンタルサポートを受けられる体制を整備した上で、分かりやすく周知し、幅広い相談に応えるようにする。コンプライアンス部門の体制強化と人員増強も行い、より声を上げやすい、相談しやすい、心理的安全性の高い組織を構築する。
(3)コンプライアンス違反への厳正処分 一部の事案において、違反に対して適切な処分が行われていなかったことを真摯(しんし)に反省し、賞罰審査委員会における処分決定のプロセスに、外部専門家の知見を取り入れて改善する。また処分の内容をイントラネットに掲示し、見える化を徹底、全ての社員に当事者意識を促し、再発防止とコンプライアンス意識の浸透を図る。
(4)リスク減仕組みの導入 平時から、コンプライアンス担当役員直下にフジテレビにおけるリスクを日常的に特定・評価し、危機を未然に防止するための「リスク評価・対応チーム」を新設する。また、重大な経営リスク発生時には全社横断的な「リスク対応コントロールセンター」を立ち上げ、必要に応じ弁護士・メディアアドバイザー・医師など外部専門家の意見を直ちに取り入れることができる体制とし、密室・少人数での誤った判断を防ぐ。
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(5)編成・バラエティー部門の解体再編とアナウンス室の独立 社内の一部に「楽しくなければテレビじゃない」を過度に重視した風土が根付いていたことを重く受け止め、編成局、バラエティー制作局などの制作部門の組織を解体、再編する。また編成・制作がキャスティングをする側、アナウンサーがされる側、という従属的な関係性が問題を生んだと認識し、アナウンス室を編成・制作部門から独立させる。番組との調整役を果たす「コーディネーター制度」を創設し、番組への起用方法、マネジメントの流れを見直す。
(6)役員指名の客観性、多様性、透明性を確保 役員の指名プロセスや人材配置の透明性が低かったことを認識し、相談役・顧問制度を廃止するとともに、役員定年制を厳格化し、在任期間の上限を設定する。以上の施策によって、特定の個人に長期間権限が滞留しない仕組みを構築。また、次世代の経営人材を育成するためのサクセッションプラン(後継者育成計画)を導入し、事業の継続性及び持続的な成長を実現させる。
(7)女性比率増と若手登用 男性優位構造が思慮に欠けた経営判断やハラスメントに対する感度の低さを招いたとの指摘を重く受け止め、人材に多様性を確保することを重視する。女性役員は30%に達したが、取締役の女性比率を継続して3割以上とする。管理職の女性比率も1年以内に3割にし、女性リーダーの育成に加え、若手も積極的に登用しながら、中堅若手社員も安心して自由な意見を発信できる環境を整え行動指針を見直す。
(8)公共性と責任の再認識 「楽しくなければテレビじゃない」から脱却し、放送法の原点に立ち返り、公共性をもって社会に貢献できる企業となり、社会の公器としての役割を果たす。取締役会が責任と覚悟を持って人権尊重意識の定着、人権侵害リスクの特定と予防・是正のため不断の取り組みを推進し信頼を取り戻す。「リブランディング」では中堅若手の声を吸い上げ、内外のステークホルダーとの対話を通じ企業理念を見直す。策定プロセスも、視聴者・国民の皆さまへ詳細に発信する。
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