火曜ドラマ『対岸の家事〜これが私の生きる道!』で注目。「専業主婦」「ワーママ」たちの本音

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2025年04月30日 22:10  All About

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火曜ドラマ『対岸の家事〜これが私の生きる道!』で描かれる、専業主婦、ワーママなど立場の異なる人々の葛藤。「対岸」の環境はよく見えるものだが、実際にはそれぞれが日々悩んでいる。(サムネイル画像出典:『対岸の家事〜これが私の生きる道!』公式Xより)
ドラマ『対岸の家事〜これが私の生きる道!』(TBS系)が話題になっている。専業主婦とワーママ、妻の代わりに育休をとった男性を軸に、それぞれの悩みや葛藤が描かれており、その立場の人たちから共感を得ているようだ。

家族の内情は人それぞれ

「子どもの小学校のママ友たち、専業主婦もいればパートもいれば正社員もいるし、フリーランスの人もいます。ただ、そのくくり方で、この人はこうと決めつけるわけにはいかない。私は勤めていた会社が倒産し、転職しようとしていたところで病気が発覚したために専業主婦なんですが、ママ友の一人は夫の親と自分の親の介護が重なり、忙しく動いているときにお子さんが交通事故にあって骨折というトリプルケア状態。再就職がままならなくて、しかたなく専業主婦だと言っていました」

そう言うのはサトコさん(42歳)だ。11歳と8歳の子を抱え、持病と格闘しながら頑張っていると言う。経済的には夫がワンオペとなるわけで、それもけっこう厳しいそうだ。

「最近、持病が少し落ち着いているので家でできる仕事を始めようと思っているところです。夫は体を最優先に考えてと言ってくれているけど、少しは経済活動もしないと」

他の立場をうらやんでもしかたがない

介護と子どもの骨折でてんてこまいの友人は、子どもが3人いるため、朝4時に起床して日付が変わるまで休む間もないという。夫は出張が多く、親族も近くにいないので一人で頑張るしかないのが現状だ。

「それぞれが大変なんだと思う。家族の形もありようもたとえ似ていても内情は違いますから。私だって、病気にさえならなければと思うこともありますが、友人からみればトリプル介護の方が大変だと感じているでしょうし。友人関係であれば、そこをどう思いやれるかが問題なんでしょうね。単純にうらやましがっていいとは思えない」

「隣の芝生は青い」と昔から言う。人の持ち物や置かれた状況の方がよく見えてしまうのは人の性だが、実際には本当にいいかどうか分からない。しかもうらやましがっても意味がない。他と比べること自体が、自分の人生に不満がある証拠なのかもしれない。

両親が建てた二世帯住宅で同居

二世帯住宅で親と同居しているため、子どもたちが小さいときから安心だったというのはユキノさん(46歳)だ。15年前、両親が突然、「二世帯住宅にした」と報告してきた。

「当時、私は結婚の予定もなく、一人で暮らしていました。二世帯住宅にしたということは私が結婚してそこに住むのを前提にしているわけで、すごく腹が立ったのを覚えています。たとえ結婚しても絶対に住むものかと内心、反発していました」

一人っ子だったから親の期待が重かった。そこから逃れようと生きてきたのに、相談もなく二世帯住宅にしたことが許せなかった。

「ただ、35歳のときに縁あって2歳年下の彼と結婚しました。婚姻届を出してから実家に連れていったんですが、夫は早くに親を亡くしたせいか、うちの両親に懐いて……。両親も私より彼の方が気に入っているみたい(笑)」

当初は別居していたが、子どもができたタイミングで、両親と夫から「実家で暮らそう。二世帯住宅なんだから互いに気を遣わないようにすれば大丈夫」と説得された。玄関も別の完全二世帯なのは、両親がいろいろ考えた結果だろうと夫は言った。

同僚に「ずるい」と言われモヤモヤ

「それならと渋々、実家に戻ったんですが、正直言って戻らなければ二人目は産みませんでしたね。私が産後、早々に仕事復帰できたのも、子どもが熱を出したからと早退しなくてすむのもやはり親がいるおかげ。それはよく分かっています」

社内のワーママから、いつもうらやましがられるとユキノさんは苦笑した。平日は夫と連絡をとり、どちらかは早く帰るようにしているが、思うようにいかないこともある。9歳と5歳の子どもたちも「週末はパパとママがずっと一緒にいるけど、平日はどちらか、あるいは両方が夜遅い」と分かっているようだ。

「つい先日、共働きの同僚から『ユキノはずるいよね』と言われました。状況的に恵まれているのは分かっているから、うんとうなずいておきましたが、本心はちょっとモヤモヤしますね。この先、私たちに親の介護が降りかかってくるのは分かってる。地方に両親がいて面倒をみてくれる人がいるから、直接介護にかかわらなくて済む人もいる。そういう人は今は大変だけど、先々は苦労しなくて済むかもしれない。

私は今は楽しているけど、この先は分からない。そう考えると、『ずるい』と言われるのはちょっと……と思ったりもします」

先がどうなるかは分からないが、ユキノさんがそういう不安定要素を抱えているのは確かだ。

「結局、人生ってプラスマイナスゼロなんじゃないですかね。私は私、今の状況でどこまで子どもたちときちんと関わり、家族で楽しい時間を過ごすかを日々考えることにしています」

隣の芝生を羨んでも仕方がないとユキノさんは笑みを浮かべた。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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