総務省に報告書を提出後、取材に応じ、再生・改革の具体策について語るフジテレビの清水賢治社長=30日午後、東京都港区のフジテレビ本社 フジテレビは30日、今後の再生・改革の具体策を発表し、40年以上掲げてきたスローガン「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却や「人権ファースト」の徹底などの方向性を打ち出した。
「楽しくなければ―」は人気バラエティーやドラマを次々に生み出した、同局の社風を象徴するフレーズ。日枝久氏が編成局長を務めた1980年代に唱えて黄金期を築いたが、清水賢治社長は「面白いことをやるために他のものを犠牲にしてもいいというのは曲解された考え方。誰かの犠牲の上に成り立つものではない」と強調した。
組織改革にも取り組み、局の要である編成局とバラエティ制作局の解体・再編を表明。番組にキャスティングされるアナウンサーの「従属的立場」が、元タレントの中居正広氏による性加害問題などを生んだとの認識から、アナウンス室を編成局から独立させ、コーディネーターが出演調整をする制度を創設する。
また、社外取締役がトップを務め、人権問題などのリスク対応を監督する「リスクポリシー委員会」や、外部弁護士に直接相談ができる窓口なども新設。人権尊重を徹底する組織を作るとした。
この他、男性優位の経営がさまざまな問題を招いたとの反省から取締役の女性比率を継続して3割以上にし、若手も積極的に登用するなどし、人材の多様性を確保する。
清水社長は「放送法の理念に基づき、民主主義の礎となり、社会に貢献できる企業となることを約束する。どうかフジテレビの改革、われわれの覚悟を厳しい目で見届けてください」と訴えた。