米ニューヨークで開かれた自動車ショーの展示会場=4月24日 【ニューヨーク時事】トランプ米政権は29日、米国製自動車を対象に、使用した輸入部品に課す追加関税を一部免除すると発表した。だが、低価格帯の車の大半を占める輸入車は25%の追加関税が適用されたままで、米国内で車の価格は上昇していく見通しだ。トランプ氏支持層には低所得者も多く、関税コストが価格に上乗せされれば痛手となりそうだ。
「新たな関税はかかっていません」。ニューヨークで4月に開かれた自動車ショーで、ある日系メーカーはこう書かれたステッカーを展示車に貼りアピールした。担当者は「いま国内にある在庫はトランプ関税を免れている。買うなら早い方がいい」と売り込みをかけた。
関税コストを価格に反映するかどうかや、反映の手法は各社の判断次第だ。ただ、関税賦課が長引けば値上げを余儀なくされるとの見方が強い。
米国では、大型車人気やインフレを背景に、既に新車の平均価格が5万ドル(約710万円)近くに達している。米国製は人件費の高さなどから高額になりやすく、輸入車の方が全体的に安い。米データ会社によると、手頃とされる3万ドル(約430万円)未満の車は、約9割がメキシコやカナダ、日本、韓国といった海外製だ。
トランプ氏は3月、関税により輸入車価格が上昇する恐れについて「全く気にしない。外国製自動車の価格が上昇すれば(人々は)米国製を買うようになるだろう」と言い切った。しかし、ゼネラル・モーターズなど米大手3社も海外生産車を輸入しており、関税は追い風どころか逆風だ。
米調査会社は、輸入車の関税コストは1台当たり平均で約8700ドル(約120万円)、米国製でも輸入部品を使っているため約4200ドル(約60万円)に上ると試算。一部免除により、米国製はこれよりも低くなるとみられるが、同社は米国で販売される車に「『100%米国製』は存在せず、すべての車が関税の影響を受ける」と強調した。