“太陽系外生命”の有力な証拠 英ケンブリッジ大学などが発見 「人類は宇宙で孤独なのか?」

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2025年05月01日 08:21  ITmedia NEWS

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 英ケンブリッジ大学や米宇宙望遠鏡科学研究所などに所属する研究者らが発表した論文「New Constraints on DMS and DMDS in the Atmosphere of K2-18 b from JWST MIRI」は、太陽系外の惑星において生命活動の可能性を示す有望な兆候を検出した研究報告だ。


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 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータを使用した観測により、太陽系外惑星「K2-18b」の大気中に、化学物質「ジメチルスルフィド」(DMS)と「ジメチルジスルフィド」(DMDS)の化学的特徴が検出された。


 地球上においてDMSとDMDSは、海洋の植物プランクトンのような微生物を主とする生命体のみが生成する物質である。K2-18bの大気中におけるこれらの分子の存在が未知の化学反応によるものである可能性も否定できないが、この結果は太陽系外の惑星に生命が存在する可能性を示す最も強力な証拠となっている。


 観測結果は統計的有意性において「3シグマ」レベルに達している。これは偶然によって生じる確率が0.3%であることを意味する。科学的発見として公式に認められるためには「5シグマ」の閾値(偶然による確率が0.00006%未満)を超える必要がある。研究者たちによれば、JWSTによる16〜24時間の追加観測によって、5シグマの有意性に到達できる可能性があるという。


 K2-18bは地球の8.6倍の質量と2.6倍の大きさを持ち、しし座の方向に124光年離れた位置に存在。以前の観測では、この惑星の大気中からメタンと二酸化炭素を検出していた。これは太陽系外惑星における炭素系分子の初めての発見で、「ハイシアン惑星」(水素が豊富な大気の下で海洋に覆われた居住可能な世界)の予測と一致するものだった。


 しかし研究チームは、未知の化学プロセスがこれらの物質を生成している可能性もあるとして、慎重な姿勢を崩していない。「自分たちの結果に対して深く懐疑的であることが重要だ。何度もテストを繰り返すことによってのみ、結果に確信が持てる」と、研究チームのニク・マドゥスダン教授は述べている。


 また「われわれ(人類)は宇宙で孤独なのか?」という根本的な問いに向けて新たな一歩を踏み出しているとも続ける。「これが転換点となり、宇宙でわれわれだけが孤立しているかどうかという根本的な疑問に答えられるようになるかもしれない」


 Source and Image Credits: Nikku Madhusudhan, Savvas Constantinou, Mans Holmberg, Subhajit Sarkar, Anjali A. A. Piette, and Julianne I. Moses. New Constraints on DMS and DMDS in the Atmosphere of K2-18 b from JWST MIRI. 2025 ApJL 983 L40 DOI 10.3847/2041-8213/adc1c8


 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2



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  • 中学生のときから言っているのだが、この広大な宇宙において地球以外に生命はいないとするならば、それは大きな間違いであり、傲慢である。∵すべての学問は肯定(≒仮説)からはじまるものだから。
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