
柴犬のティーくんは、現在16歳の男の子。年齢を重ね、車椅子を使いながらも元気にお散歩を楽しんでいます。
【動画】シニア犬が車椅子でお散歩 一歩一歩、前へ進む姿に心打たれます
ある日、ティーくんと飼い主のXユーザー・柴のティーさん(@kuu_tee_shiba)が一緒に桜を楽しんだ帰り道のこと。車椅子に乗ってお散歩していたティーくんに、見知らぬ女性が声をかけてきました。
女性:「いくつなの?」
飼い主さん:「16歳です」
女性:「柴犬って長生きするのに、16歳でこんなになっちゃったの??? 早くない? うちは18歳でも歩いて20歳まで生きた」
女性は2、3度、同じことを繰り返し言ったあと、最後は夫から制止されたといいます。飼い主さんは「その場では堪えたけど、家に帰ってきてからティーに謝ることしかできない」と綴り、大きな桜の木の下で撮影したティーくんの写真を投稿しました。
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このエピソードに心を動かされた人たちから、多くの共感と励ましの声が寄せられました。いったいあのとき何があったのか――飼い主さんに詳しくお話を伺いました。
傷ついた心を乗り越えて――16歳ティーくんと歩む穏やかな時間
ーー撮影時の状況を教えてください。
「お散歩が大好きなので今の季節桜巡りをして楽しんでいて桜をみた帰り道に車椅子に乗って歩いてるところ『いくつなの?』と声をかけられました。最初、女性が2人いて、もう1人の方は横で『頑張ってるね。よく頑張ってる』と声をかけてくださっていました。パートナーがほんの少しあとから合流されて、2回、投稿したような言葉を投げかけられたのです。5、10分程度だったかと思います」
ーー突然の出来事だったのですね。「ティーに謝ることしかできない」と悔やまれる言葉が胸に刺さりました。
「10歳を超えた頃から介護にならないように、ティー自身が苦しまないように、いつまでも歩けいて食べられるように、幸せでいられるように、健康でいられるように心がけてきました。筋トレやマッサージ、食事 、脳トレ、日々、色々楽しんでもらえるように工夫しながら過ごしてきたのです。ところがこの冬、老化が顕著にみられるようになりました。何が間違っていたのか、足りなかったのか、ティーに負い目を感じているときだったんです」
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「車椅子を取り入れたところ、ティーが楽しんでお散歩できるようになって光が見えてきたように感じられた矢先、あのようなことを言われて…。『どうしてなの』と悔しさと申し訳なさがこみ上げました。老いはそれぞれどうしようもないことかもしれないし、私が不甲斐なかったのかもしれない。本当のところはわかりません。今の状態を維持しながらどのように幸せに暮らしていけるかを考えています」
ーー大きな反響を呼んだことについて、どのような感想を持たれましたか。
「応援も大変嬉しく思いますし、一緒に悲しんだり怒ってくれたりして頂き励みになりました。そして『飼い主が悲しんでいたらダメ! ティーが悲しむよ』という声も。まさしくその通りだと思いました。笑顔で楽しくしていこう!と再度奮起するきっかけをいただいたと思います」
ーーティーくんは車椅子を使って上手にお散歩をされていますね。
「2025年2月19日、初めて立ち上がれない時がありました。今年に入ってからもみるみる筋力の低下が見られ、お散歩中は頭が下がり、斜頸も見られるようになり、背中も丸まり、よれよれ、よぼよぼで、すぐに転んでしまうように。介護ハーネスでは支えきれなくなり、『もう歩くことができなくなるのも時間の問題かもしれない』と思い、今のうちに練習しておこうと決意しました」
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「3月1日に電話で予約し、翌3月2日には車椅子工房へ。その場で試乗し、オーダーメイドで購入しました。制作中も貸し出してくださったため、車椅子は3月2日から使用しています。試乗中、最初の数分は『何これ?』と固まっていましたが、工房の店主さんに手を引かれて歩いてみると、20〜30分もかからずに自分の力で歩けるようになりました。楽しそうに歩く姿を見て『これは練習じゃなくて本格的に使おう』と、その時に決めました」
「『どのように練習しようかな』と考えていたのですが、心配ご無用でした。ちょっとした砂利道、砂場、草むら、芝生、坂道――どこでも歩けるので、私はいろんな場所へ連れていき、あとはティーの思うままにお散歩をしています。車椅子を使うようになってから、よく動けるようになり、筋力も上がってきているように感じます。何よりも『歩くこと』『お散歩』が楽しくて仕方がない――そんなふうに見えるのです。車椅子は、トレーニングにもリハビリにも、ベッドにもなる優れものでした」
ーーティーくんは、どのような性格のワンちゃんですか?
「今、思うように身体が動かせなくなってきて、もどかしさや『どうして』と思うこともあるけれど、悲しい言葉や切ない言葉を投げかけられることがあっても、それはほんの一部で、お友だちやすれ違う方、Xの皆様、多くの方々に応援してもらえて、それが心の支えになり、『嬉しいね』『頑張ろうね』と思えます」
「代々ワンコがいたけれど、ここまで長生きしてくれる子は初めてです。初めての介護は、正直、四苦八苦していますが、お友だちワンコやパパさんにも助けてもらいながら、なんとかやっていけています」
「これからも、精一杯サポートするし、おいしいものもたくさん食べて、いろんな所へ遊びに行こうね。ずっとずっと、できる限り一緒にいて、笑って過ごそうね。大好きだよ、ティー」
飼い主さんの心からの思いに、多くの人が共感し、ティーくんとともに歩む姿にあたたかなエールが寄せられました。
「なんてひどいことを言う人でしょう」
「ティーくんの嬉しそうに歩く姿をみてどうしてそんな言葉をかけれるのか」
「16歳でまだ歩けるって凄いですよ。ワン性はそれぞれ」
「ティーちゃんの一生懸命な姿にエールを!!」
「人も健康寿命が人それぞれ違うように、犬もそれぞれ違って当たり前ですよね。余計なお世話ですよね」
「同じワンちゃん飼育者なのにどうしてそんな心無い言葉を…。誰に何を言われようとこんなにかわいらしい子は自慢のワンちゃんですよ」
「ティーさん、えらいよ。ありがとうね。楽しい時間がますます積み上がっていきますように」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)