
JR西日本・京阪神エリアのローカル線のひとつに、加古川線が挙げられます。加古川線はJR神戸線の加古川駅と福知山線の谷川駅を結ぶ全長48.5kmのローカル線です。同線は一部区間の廃止がささやかれるなど、なかなか厳しい状態です。そんな中、今年に入り、様々な取り組みが行われています。
国鉄時代の通勤電車が走る加古川線
加古川線は加古川沿いに南北に走ります。途中の粟生駅で神戸電鉄粟生線、北条鉄道に接続します。全区間を走る列車は少なく、区間により運転間隔が異なります。日中時間帯に関して、加古川方の加古川〜厄神間は毎時1〜2本、厄神〜西脇市間は毎時1本、西脇市〜谷川間は2時間ほど、運転間隔が空くことがあります。列車種別は全て普通です。
加古川線は全線電化ですが、電化は2004年と他線と比べると後発です。使用車両は1両で運行可能な125系と国鉄時代の通勤電車の代名詞、103系です。103系は北海道を除く全国各地の都市圏を中心に活躍し、昭和を代表する通勤電車です。老朽化により廃車が進み、定期運用がある路線は加古川線の他に、同じ兵庫県内を走る播但線、そしてJR九州の筑肥線のみとなりました。
加古川線の103系は中間車を前面改造したため、オリジナルとは異なる顔をしています。車内もリニューアルはされていますが、随所に懐かしさを感じるところも。重々しい走行音と相まって、どこか懐かしい気分に浸れます。
|
|
厳しい加古川線の現状
しかし、加古川線の経営は厳しさを増しています。特に西脇市〜谷川間は厳しく、2024年1月31日付の神戸新聞によりますと、同区間の赤字額は2億6千万円(2020〜22年度の平均)にのぼります。そのため、西脇市〜谷川間については廃線がささやかれているのです。
一方、大阪・関西万博の期間中に、様々な試みも実施しています。JR西では4月13日から10月13日にかけて、西脇市〜谷川間で1日上下各2本を新設。また、福知山線の特急「こうのとり」の上下計最大4本が新たに谷川駅に臨時停車し、加古川線の利便性向上につなげています。
また、加古川線が一日乗り放題となる「ぶらり加古川線 tabiwa 1 Day パス」を10月13日まで発売。大人1200円で、観光ナビ「tabiwa by WESTER」から購入します。
その他、6月13日までのイベントとして「ぶらり加古川線 WESTER スタンプラリー」を実施。加古川線の対象駅、観光スポット、ひょうごフィールドパビリオンをめぐり、デジタルスタンプを集めると、抽選で各種商品がもらえます。
JR西としては万博期間中の試みを検証する方針で、万博終了後に西脇市〜谷川間について何かしらの動きがあることでしょう。この機会に、大阪駅から加古川駅、谷川駅まで1時間前後でアクセスでき、ちょっとしたノスタルジーに浸れる加古川線を訪れてみませんか。
|
|
(まいどなニュース特約・新田 浩之)