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和月伸宏による漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』といえば、人間離れした剣術のぶつかり合いを描いた名作だ。しかし同作には、さまざまな科学技術によって製造された「兵器」がいくつも登場している。
まず、最も印象的な兵器としては、武田観柳の「回転式機関砲」(ガトリングガン)を挙げるべきだろう。1861年にアメリカで開発されたものであり、明治初期を舞台とする作中の時間軸では、まさしく最新鋭の兵器だ。
その破壊力はすさまじく、手練れであるはずの御庭番衆を蹴散らしていく様子はあまりにインパクトが強い。新時代の科学が旧時代の戦力を打ち破るという、象徴的なシーンでもあった。
同じく驚異的だったのが、元赤報隊の月岡津南が作った「炸裂弾」だ。単1電池ほどの大きさだが、その破壊力たるや明治初期の技術レベルとは思えない規模。たった3発で、志々雄真実が所有する巨大装甲艦「煉獄」を轟沈させた。ちなみに小説版によると、津南は海外の文献を参考にして、この恐ろしい兵器を生み出したという。
また、あっさり沈んでいった「煉獄」の方も、立派な兵器としてカウントできる。志々雄一派が全財力の五分の三を注ぎ込んだ代物であり、残念ながら威力を発揮する機会はなかったものの、ガトリング砲やアームストロング砲も備えていた。
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さらに原作をよく読むと、煉獄が沈んだのは炸裂弾の当たり所がよかった結果のようにも見える。おそらく耐久性に難があるわけではないのだろう。
実際に実写映画『るろうに剣心 京都大火編』に登場した煉獄は、原作とは打って変わって大活躍している。砲撃で街を破壊し、剣心と志々雄が最終決戦を繰り広げる舞台として物語を盛り上げた。
明治政府転覆のために近代的な兵器を使いこなす志々雄一派だが、そのなかには印象的なメンバーがいた。「飛翔の蝙也」こと刈羽蝙也だ。
彼はダイナマイトの爆風で空を飛び、上空から爆撃を行う「飛空発破」を得意とする使い手。ただ武器の性能に頼るだけではなく、空を舞うために体重を28kgまで絞るというストイックさをもつ。
ただ、最終的には当時10歳の少年でしかなかった明神弥彦に叩き落とされるという無残な末路を迎えていた。やはりダイナマイトの使い道として、“空を飛ぶ”のは効果的ではないのかもしれない……。
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さらにその後には、雪代縁率いる「六人の同志」との戦いが描かれるが、彼らのメンバーには強力な兵器使いが揃っていた。
まず夷腕坊は、現代の科学技術をもってしても不可能と思われるからくり人形。そのほか人並み外れた怪力でアームストロング砲を操る鯨波兵庫、地中爆弾を使う八ツ目無名異など、錚々たる面子だ。
なかでも13種の暗器を操る乙和瓢湖は、作中最強の兵器使いと言えるだろう。作中では鉄筒からバネで矢を打ち出す「梅花袖箭」、水に反応して毒煙を発生させる「過水毒煙」、自在に動く6本の刀「六道蠱」、磁力を持たせた剣「毘沙門剣」が使用された。
しかし兵器に頼りすぎており、刀の腕が素人程度という弱点も。蝙也と同じく、弥彦に剣術でねじ伏せられたため、作中最弱レベルとも言われている。
本格的な時代劇でありながら、魅力的な兵器の数々を描き出した同作。炸裂弾に至っては、どんな剣士も敵わない最強の兵器に見えてしまうが、ロマンにあふれていることは間違いないだろう。
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