ダウ急落を伝える米ニューヨーク証券取引所のモニター=4月4日、ニューヨーク(EPA時事) 【ニューヨーク時事】英調査会社オックスフォード・エコノミクスのリードアナリスト、ジョン・キャナバン氏は4月30日、インタビューに応じた。トランプ米政権が米経済にもたらす「深刻な先行き不透明感」を敬遠し、世界の投資家が米国の株式や債券、ドルなどから距離を置きつつあると述べた。
キャナバン氏は、政権が各国に高関税を課すだけでなく、急な方針転換を繰り返していることで、銀行やヘッジファンド、資産運用会社といった投資家が「困惑した」と分析。株にとどまらず、安全資産とされる米国債やドルも売られ、資金が金やユーロなどに向かったと説明した。
市場では、米国債を大量に保有している日本や中国が米関税への報復措置として売り浴びせたのではないかとの臆測も流れた。しかし、キャナバン氏は、その場合は両政府が米側に通告するなどして関税措置を改めるよう促すはずだと指摘。「そうした情報は確認されていない」として、可能性は低いとの見方を示した。
一方、米国債市場はいつでも換金できる高い流動性という大きなメリットを持つ。キャナバン氏は、米国債は安全資産の地位を維持し続けると予想するものの、米政策に対する不安から「投資家は(投資先として)他の選択肢も探すだろう」と語った。