
大阪ベイエリア・天保山にある保護猫カフェ「大阪文化館・ジオラマ食堂」が猫好きの間でひそかな人気だ。ジオラマで遊ぶ保護猫たちで世界的人気を誇る「ジオラマ食堂(天王寺店)」(大阪市天王寺区寺田町、4月5日にリニュアルオープン)が運営。約100平方メートルのゆったりとした店内には、総延長約20メートル(直線最長9メートル)のジオラマがあり、日本人だけでなくSNSなどを見た海外からの観光客も多数訪れており、ベイエリアの観光名所となりつつある。
【写真】お城は安土城。城壁にもたれかかって寝ている子は「まむ」ちゃん
同店は2024年7月にオープン。同年5月まで三重県伊勢市内にあった「伊勢ジオラマ食堂」の物件が契約満了で閉店となり、伊勢店を引き継ぐ形で開業した。元システムエンジニアでITに詳しいマネージャーの岡村和明さん(47)は鉄道模型が大好きで、ジオラマ食堂(天王寺店)の常連客だったところを引き抜かれ、店長を任されることに。「『ジオラマ×保護猫』を、国際都市・大阪の多様な文化を紹介する大阪文化館から発信していきたい」と話す。
現在、同店には25匹の保護猫がいる。猫たちは大阪府内を中心に、飼い主がいなかったり行き場がなかったりした猫を保護して引き取った子たちばかり。中でもお客さんに最も人気なのが「りく」(オス、推定3歳)だ。愛媛県松山市内で殺処分寸前のところを地元の保護猫団体に助けられ、縁あって大阪にやってきたという。ジオラマ食堂の保護猫専門飼育スタッフが幼いりくを哺乳瓶でミルクを飲ませ育てあげた。
「りくは、一つの目の中に2つの色が混在しているダイクロイックアイの瞳を持つとても珍しい子で、この目を持つ猫に出会えたら『幸運が訪れる』ともいわれています。額の模様も『八』の字のようでちょっと困った顔に見え、鼻に髭のような模様があるのもチャームポイント。店では正統派のアイドルといった感じです」(岡村さん)
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猫好きのお客さんがソファに座っていると、りくはどこからともなく近づいてきて、お客さんの膝の上にのり、腕をペロペロしたり両前脚でフミフミしたり。幼いころ母猫と離れてしまったからなのか、とても甘えん坊なのが人気の理由だ。
ほかにも、りくと同じ愛媛からやってきて一緒に育ったハチワレの「りお」(オス、推定3歳)、三重県鳥羽市の旅館裏で保護された「ゆき」(オス、2歳)も人気だ。「保護された当時は警戒してシャーシャー言っていた子も、他の猫たちやお客さんと遊んでもらい、広い空間でのびのびと過ごすうちに人慣れして穏やかになった子が多いです」(保護猫の世話を担当する女性スタッフ)
ジオラマの上にのり、ビルや線路の間で思うままにくつろぐ子も。ジオラマは天王寺店の専門スタッフが製作。架線柱など細かく尖ったものや猫が遊んでいて危険なものは設置していない。走っている電車に猫パンチをくらわす子もいるが、電車が走ってきても気に留めず、線路の上で堂々と寝転んでいる子もいる。猫じゃらしなどの遊び道具を貸してくれるので、ジオラマを鑑賞しつつ、猫たちとの癒しの時間を存分に楽しめる。
店内に流れているBGMはすべて岡村さんがAIで作ったオリジナル曲だ。中には聴いていると猫と遊びながら思わず口ずさんでしまう曲も。「BGMはこれから中国語や英語バージョンもつくってダウンロード販売を行い、保護猫活動の資金にあてたいと思っています」(同)。また、現在開発中で、もうすぐ完成予定というのが、カメラを搭載した模型の電車を走らせ、お客さんがモニターをみながら運転士目線で運転を体験できるというシステム。「今後はここでしか楽しめないコンテンツを充実させていきます」と話す。
大阪ベイエリアでは現在、夢洲で大阪・関西万博が開催されているほか、USJや世界最大級の水族館「海遊館」などの観光名所が有名だ。岡村さんは「このゴールデンウイーク、万博やUSJを訪れる前後の日や、海遊館の待ち時間などにぜひ立ち寄ってもらえたら」と話している。
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「大阪文化館 ジオラマ食堂」
【住所】大阪市港区海岸通1-5-10 大阪文化館・天保山2階
【電話】050-1721-8153(予約不要。混雑時は30分ほど待つ場合あり)
【アクセス】大阪メトロ中央線「大阪港」駅下車徒歩約8分。
(まいどなニュース特約・西松 宏)
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