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「私が医学生のときは、『子宮体がん』はめったにない病気で、『子宮頸がん』が圧倒的に多かった。ところが現在は、子宮体がんの患者数は子宮頸がんの2倍近くです」
そう語るのは、婦人科がん治療の第一人者で倉敷成人病センター理事長の安藤正明先生。
子宮体がん(以下、体がん)の罹患数は1990年には3,574人だったが、2020年には17,779人に。この30年で実に5倍近くに増えているのだ。
「体がんは、“子宮体部”の中、胎児が育つ子宮内膣を覆う子宮内膜にできるがんです。ヒトパピローマウイルス感染で発生する子宮頸がんとはまったく異なり、子宮内膜の増殖(肥厚)を促す女性ホルモン『エストロゲン』による刺激が深く関わっています」(安藤先生、以下同)
エストロゲンは、子宮内膜を整える働きのあるプロゲステロンという女性ホルモンとともに月経・妊娠・出産をコントロールしているが、なんらかの理由でプロゲステロンの分泌が減少し、エストロゲンの分泌が多くなると、体がんになりやすくなるという。
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「体がんは、50〜60代での発症がもっとも多くなっています。閉経後は、プロゲステロンが分泌される機会が少なくなるからです。
しかし、40歳未満で発症することも少なくありません。エストロゲンに暴露する期間が長くなるほど体がんのリスクが高くなる傾向にあり、未産婦は経産婦に比べて体がんのリスクが2〜3倍高いとの報告もあります」
では、なぜ近年罹患数が急激に増加しているのだろうか?
「まず、高脂肪、高カロリーといった食生活の欧米化が影響していることは間違いありません。エストロゲンは体内に蓄積される脂肪細胞でも産出されるため、肥満によって脂肪が増えると、女性ホルモンのバランスが乱れて“高エストロゲン状態”になるのです。
また、少子化や晩婚化といった女性のライフスタイルの変化も患者数の急増につながっています」
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2023年には2,862人もの命を奪っている体がん。
実は、職場や自治体で行われる一般的な「子宮がん検診」は「子宮頸部細胞診」を示す。つまり対象は子宮頸がんで、体がんの検診は含まれていないのだ。そのため検診では、体がんを見つけられないことがある。
■不正出血は最初のサイン。症状があれば即受診を
では、どうすればいいのだろう。
「体がんには、エストロゲンが関与するタイプと関与しないタイプがあります。9割以上が前者で、初期症状として不正出血(月経以外の出血)があります。血が混じった茶・褐色のおりものとして出てくることも。まずはこのサインを見逃さないことです。とくに閉経後の不正出血は要注意です。
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まれに、不正出血がみられないケースもあります。ほかの症状としては腹痛や腰痛、排尿障害などもありますので、『おかしいな』と思ったらすぐに受診すること。体がんの治療では、身体的負担の軽い低侵襲手術が行われており、転移のない早期の状態で発見すれば、9割以上が治ります」
急増する体がんは、小さなサインを見逃さないようにしよう。
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