“渋谷の北朝鮮” 秀和幡ヶ谷レジデンス、長期独裁の実態「築古マンションなのにリフォームは厳しく制限、監視カメラで入退館までチェックされ…」

1

2025年05月02日 16:01  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

秀和幡ヶ谷レジデンスは一等地にあるにもかかわらず、資産価値は低迷。周辺相場の3〜4割安で取引されていた時期もあった
 マンション購入者が必ず入る管理組合。本来は物件を適切に管理・運営するための組織であるにもかかわらず、理事長らの専横により住人が苦しむケースが多発中だ。紛糾する現場を訪ねた。
◆“渋谷の北朝鮮”マンションから学ぶ「ヤバい管理組合に立ち向かう覚悟」

 白壁に青い屋根、曲線のバルコニーが特徴の「秀和幡ヶ谷レジデンス」(東京都渋谷区)。

 ヴィンテージマンションの美しい外観とは裏腹に、約30年にわたり、同一人物が理事長を務める“長期独裁”のもと、不可解なルールが増え、SNSでは「渋谷の北朝鮮」と揶揄されていた。

 ノンフィクションライター・栗田シメイ氏は、住民たちが自治を取り戻すまでの闘いを描いた『ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス』を上梓し、話題を呼んでいる。

「1974年築と築古マンションなのにリフォームは厳しく制限。監視カメラで入退館はチェックされ、17時以降は介護やベビーシッター業者の出入り禁止。荷物の搬入時には中身を確認されることも。最も理不尽だったのは入居前の面談です。職業や収入、家族構成まで聞かれるのに、選考基準は不明瞭で多数の人が落とされてきた。家賃収入が途絶え、飲食店でアルバイトしていたオーナーもいます」

 なぜ、こんな異常とも言える独裁体制が続いたのか。

「通常、管理組合の理事長や役員は数年ごとに交代する輪番制です。学校のPTAと同じで、普通は面倒なだけなので誰もやりたがらない。ところが、ここでは理事長が役職に固執し続けました。一方で、多くの住民は管理組合の活動に無関心。総会にも出席しないため、知らぬ間に独自のルールが増えていったのです」

◆住民側が勝つには強いリーダーの存在が大切

 しかし、住民たちはついに立ち上がる。

「決定打は’18年の管理費の値上げでした。突然、1.67倍に引き上げられ、これまで黙認していた住民も怒りが爆発。最初、有志は匿名での抗議でしたが、実名で活動するようになると支持が広がった。4年間にわたる闘いの末、委任状の過半数を獲得し、ついに理事会を交代させました」

 しかし、「これは稀なケース」だと栗田氏は続ける。

「管理組合と対立し、住民側が勝つのは珍しい。今回は住民側に強いリーダーがいたことが大きかった。途中で挫折してしまう運動が多いなか、地道に支持者を増やしてきた。マンション自治も政治と同じ。結局、総会で過半数を取るしかないんです」

 マンションの未来、そして自分たちの未来は、住民の行動にかかっている。

◆不動産Gメンが語る「自主管理物件は地雷だらけ」

 不動産会社代表としてトラブル相談を請け負う、自称“不動産Gメン”の滝島一統氏。彼が知るヤバい管理組合の傾向とは?

「思い当たるのは、主に2パターン。管理組合の理事長と管理会社が癒着している場合と、所有者が国外にいて連絡がつかず決議が取れないため、管理組合が機能しない場合です」

 どちらのパターンでも鍵を握っているのは管理会社だという。

「管理会社を介さない自主管理物件は、自浄作用が働かず地雷マンションが多いです。逆に、管理会社にコンプラ意識の高い大手が入っていれば、前述した癒着の心配はあまりないです」

◆個人情報を売り飛ばされマンションを買い叩かれる事案まで

 ヤバい管理組合の問題は、その組織の体質にもある。

「新参者は管理組合に口出ししにくい風潮がある。風通しが悪く、長期政権により管理組合の理事長と管理会社の間に癒着が生まれやすいのです。管理会社へ管理費の滞納状況などの個人情報を流される事案もありました。最終的に自己破産を勧められて、所有マンションを格安で業者に買い叩かれるという最悪のケースを目にしたこともあります。不動産において“個人情報”は商材です。悪徳な理事長は、それを業者に流して莫大なカネを得るんです」

 管理組合の運営は煩雑で、時間がない現役世代には負担が大きい。放置した結果、管理組合が機能不全に陥るケースもある。

「新たな規則の作成や、修繕や建て替えといった計画は、管理組合の決議がないと進められません。入居者にとっては死活問題です」

 では、そんなヤバい管理組合に立ち向かうすべはあるのか。

「外部に情報が漏れて買い手がつかなくなる前に、さっさと売るのが最善でしょうね。もしくは、自分が理事になって組織を立て直すしかないと思います」

 当事者意識を持ってマンション運営に関わる覚悟が必要だ。

【不動産Gメン・滝島一統氏】
光文堂インターナショナル代表。豊富な経験を基にしたYouTubeチャンネル「不動産Gメン滝島」が人気で、登録者数は55万人を超える

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[マンション管理組合]の暴走]―

このニュースに関するつぶやき

  • 北朝鮮と言うよりは中国共産党のやり方だな! 長く理事長をやってたヤツは朝鮮系? 中国系?
    • イイネ!2
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定