写真 パソコンやスマホを開けば、さまざまな情報が飛び込んでくる便利な時代になりました。
けれど、「自分でよく考えたり調べたりせず、タイミングよく目にした情報ばかりに頼っていると、私のように情報弱者になって大変な思いをするかもしれません」と語るのは、宮西日和さん(仮名・30代)です。
◆夫とは正反対のお客さんにビビっときて不倫関係に
小さな飲食店を経営していた日和さんは、よく食事に来てくれる30代の男性・慎二さん(仮名)と親しくなり、夫にはない強引さと自分を求めてくるガツガツ感にドはまりしてしまったそう。気前もよく、日和さんへのプレゼントを持って来店することもありました。
「夫とは正反対のグイグイ引っ張ってくれる男らしさにビビっときたんです。気持ちが止められないというか、久しぶりに学生の頃に戻ったようでした。最初は私の経営する店の中でだけ会う関係。ほかのお客さんがいなくなったら世間話をするような仲でした」
2人の距離はあっという間に縮まり、4か月が過ぎる頃には外で会うようになって大人の関係にまで発展。慎二さんの態度が横柄になってきたのはその頃ぐらいからでした。
◆「会社が大変」という彼のため、貯金を切り崩す
「財布を忘れた」「まとめて支払う」などと言い、日和さんの店でもツケをするようになります。
「そこで気づけばよかったのですが、恋は盲目。店のランチタイムやディナータイムが終わったあとにデートを重ね、『いつか2人で暮らしたい』などと将来の話までするようになっていました。そのようなタイミングで、次々と慎二に不幸が降りかかったのです」
慎二さんは、「下請けの会社が倒産して、経営している会社が大変」などと相談をしてきますが、「お金を貸してほしい」とは絶対に言わなかったそうです。そんな姿をみて、日和さんは「助けたい」と思ってしまったのだとか。夫に内緒で貯金を切り崩し、慎二さんに渡しました。
「それまでの羽振りのよさ、そしてたくさんプレゼントをしてくれたことなどから、心のどこかに『すぐに返してもらえるだろう』という自信のようなものがあったのです。でも、一度お金を貸したあとは『追加でお金を振り込まないといけなくなった』など、ズルズルと続きました」
◆お金が底をつき“名義を貸して”借金した結果
そのうち、夫に黙って引き出せるお金が底を尽きます。それでも、最初は「お金を貸してほしい」と頼んでこなかった彼に「助けてほしい」と頼み込まれ、頼りにされていると感じてしまった日和さんは、自分の名義でお金を借りることにします。
「慎二は『必ず俺が返す』『債務者は日和の名前になっているけど、実際に借りているのは俺だから』と言っていましたし、名義を貸すだけ、自分の名前でお金を借りてあげるだけだから、と軽く考えていました。でも、しばらくして慎二と連絡が取れなくなったんです」
◆名義貸しは「詐欺」。仕方なく選んだ“返済の道”は
そして複数のクレジットカード会社から返済について催促の電話がかかってくるようになり、事情を話したところ、「名義貸しは詐欺」だと説明をされてしまいます。しかも、そういった事例はよくあることなのだとか。
「金融会社からは、『支払わないのであれば、詐欺で訴える可能性もある』とも言われました。夫や子どもたちに知られたくないという気持ちから全額支払うことを決意しましたが、経営する飲食店だけでは難しく、こっそりと風俗で働いて返済しました。私の黒歴史です」
◆家庭よりも恋を取ってしまった代償
日和さんは、「夫以外の男性に甘い言葉を囁かれ、浮かれて体の関係を持ってしまったこともそうですが、名義貸しが詐欺だと知らなかった自分の無知も後悔しました。夫に真実は話せないままですが、いまでは反省して家庭第一を実践しています」と続けます。
「自分に弱みがあったり法律に違反したりしていると、やはりそれなりの代償を負うことになります。日頃の不満や不安を埋めてくれるような人物や話が出たときには要注意だと痛感しましたし、名義貸しなどは絶対しないようにしてほしいです」
いまではスマホを開いたときに自然と目に入ってくる情報だけでなく、気になった言葉や出来事はあらためて調べ直し、今後に備えているといいます。そして得た知識は、「不倫をするためではなく、大切な家族を守るために活かしたい」と話してくれました。
―シリーズ「業界ウラ話&本当にあった怖い話」―
<取材・文/夏川夏実>
【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。X:@natukawanatumi5