「薬屋のひとりごと」高順役・小西克幸、壬氏様との掛け合いで意識したことは? 作品の魅力は「点と点がつながったときの気持ちよさ」【インタビュー一部公開】 (C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期第2クールが2025年4月より放送され話題を集める中、本作で高順(ガオシュン)役を演じる声優・小西克幸が、本作の魅力や高順を演じるときに意識したことなどを明かすインタビューが一部公開された。
声優・小西克幸は、『薬屋のひとりごと』の高順役のほか、『鬼滅の刃』の宇髄天元役、『天元突破グレンラガン』のカミナ役、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のディアボロ役など、深い役作りと確かな演技力で多くのキャラクターに命を吹き込む。
ボーイスカウトやサッカーに励みながらもアニメやマンガへの情熱を秘めていた少年は、高校時代に友人から「声優」という存在を教えてもらったことがきっかけで、声の世界へと走り出す。インタビューでは、「今は声優の仕事が楽しくてしょうがない」と話す小西克幸さんの人となりや、仕事への向き合い方に迫っている。
また『薬屋のひとりごと』は、日向夏が「ヒーロー文庫」より刊行中で「ビッグガンガン」および「サンデーGX」でのコミカライズも展開している、シリーズ累計3,800万部を突破した小説を原作とする後宮謎解きエンタテインメントだ。中世の東洋を舞台に、「毒見役」の少女・猫猫が宮中で起こる様々な難事件を次々に解決する姿を描く。
■高順役・小西克幸インタビュー
――小西さん演じる高順は、寡黙ながら頼れる中年男性、というイメージがありますが、演じるにあたってはどんなことを意識されたのでしょうか?
高順は1を聞けば10のことが分かるタイプですし、逆に相手に伝えるときも言葉を多くしないタイプのキャラクターです。あまり口数が多くないので、その中でどうやって彼の人間性を表現するのか、そのバランスの表現は難しいなと思います。例えば、絵で表現されているならば、僕ら声優があまりやりすぎないほうがいいなと思ったりするケースもあります。
――ご自身の演技だけでなく、最終的な完成形として見ている方にどう伝わるのかを考えて表現していくのですね。
そうですね。それは高順だけでなくどんな役でも言えることではありますが、キャラクターって僕一人が作り上げるものではなくて、関わる人たちすべてで作り上げるものだと思っているんですよ。絵を描く人、効果をつける人、そして音楽、声。いくつもの要素が重なってできる総合芸術なんですよね。そう考えると、僕ら声優がやっていることも一つの要素でしかないですし、独りよがりな表現をするのは違うと思うんです。よくインタビューで「小西さんが演じているから」「〇〇役やっていますよね」とよく言われたりもするんですが、心のどこかでは「そうじゃなくて、みんなで作ってるんだけどなぁ」と思います。
その上で、音響監督さんに現場で言われて記憶に残っている言葉というと、「思いっきり振り切っていいよ」ですかね。
――高順の雰囲気からすると意外なディレクションでした…!
高順って物語が進むに連れて、どんどん人間性が出てくるじゃないですか。最初の頃こそ凛とした役人というイメージですが、物語が進むと困り顔をしたり、あきれ顔をしたり、もっと言うと二等身絵が出てきたりもしますし。徐々にくだけていく感じがあるんですよね。「そういうときは思いっきり振り切っていいよ」と言っていただいて。
ふだんは仕事ができて頼れる人を意識しつつ、くだけた部分からちょっとした人間性や、親しみやすさが見えてくる。その対照的な要素の振り幅みたいなものは、意識していました。
――なるほど。壬氏様とのコミュニケーションを取る場面では、どんなことを意識されていましたか?
実は、壬氏様に対してはツッコミ、とまではいかないまでも、意外とたしなめるような言葉をかけることもあります。ただ、やっぱり主人ではあるので、それがストレートなツッコミに聞こえてしまわないように、常に一歩引いた受け答えに見えるように意識しています。
――一方で、高順の視点から見た猫猫は、どんな人物に写っていると感じますか?
作品としても猫猫を中心に物語が進んでいきますし、彼女の洞察力や知識量が、つねに事件解決の糸口になる。その様子を近くで見ているわけですから、高順は彼女に一目置いているんじゃないかなと思いますね。きっと高順も猫猫のことは、すごく信頼していると思います。
でも、壬氏様と猫猫との関係という話になると、高順からすれば「壬氏様は、どうしたいのか」がまず一番になると思うんですよね。それがあって、初めて「じゃあ私はこう動こう」と考えられる。その瞬間は主人に使える身としての立場を、大事にしているんじゃないかなと思います。
――ありがとうございます。小西さんから見た『薬屋のひとりごと』の魅力を教えてください。
なんといっても、ミステリーの見せ方じゃないでしょうか。猫猫がいろいろな謎を解決していく。その一つ一つの事件は小さかったりするのですが、物語が進むに連れて、「どうやらあの事件とこの事件はつながっている」というのが分かってくる。オムニバスで楽しんでいたはずの話が、実は一大長編の物語になっている。その点と点がつながったときの気持ちよさは、『薬屋のひとりごと』の魅力だと思います。
謎解きは最上級に面白いし、一方で、ズバズバと言いたいことを言ってくれる猫猫のキャラクターというのも、みなさんに愛していただけているポイントなのかなと思います。
「J:COM STREAM」では、『薬屋のひとりごと』シリーズをはじめ、小西の出演作品も見放題で好評配信中。この機会に、インタビューとあわせて楽しんでみてはいかがだろうか。なお、J:COMの動画配信サービス「J:COM STREAM」アニメ見逃し特設サイトでは本インタビューの全文が掲載されている。
(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会