茂木健一郎「大人になると、基本的に人格はできあがっているのですが…」思春期の我が子にイライラすると悩む相談者に脳科学の視点でアドバイス

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2025年05月02日 20:20  TOKYO FM +

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茂木健一郎「大人になると、基本的に人格はできあがっているのですが…」思春期の我が子にイライラすると悩む相談者に脳科学の視点でアドバイス
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00〜22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
4月26日(土)の配信では「思春期の子どもとの過ごし方」に関する相談に答えました。


パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの質問>
私には思春期の子どもがいます。最近は「だるい」「面倒くさい」といった言葉が増え、家でダラダラ過ごすことが多くなりました。成長に伴う変化だとは理解しているものの、どうしてもイライラしてしまいます。親として、思春期の子どもと上手に過ごすコツを脳科学的に教えていただけますか?

<茂木の回答>
わかりますよ。イライラしますよね。ですが、ちょっと考えてみていただきたいのですが、あなたもきっと思春期の頃に「だるい」とか「面倒くさい」と言っていたのではないでしょうか?

それでは、思春期の子どもの脳のなかでは一体何が起きているのでしょうか。
思春期には、脳の回路がつなぎ替わるんです。例えて言うなら、蝶が幼虫から成虫になる前の“サナギ”の状態ですね。サナギの間に身体が作り替わるように、思春期の子どもは脳の回路がつなぎ替わっている最中なので、脳にとって大きな負担がかかっているわけです。

大人になると、基本的に私たちの人格はできあがっているのでスッキリしています。
しかし、思春期は「誰かに守られる存在(子ども)」から「誰かを守る存在(大人)」になるという大きな変化があります。学術用語では“安全基地”と言いますが、子どもの頃は大人が安全基地を与えてくれます。

一方で、大人になったら自分自身の安全基地を持たなくてはいけませんし、誰かの安全基地にもならなくてはいけない。これはものすごく大きな変化なので、「だるい」し「面倒くさい」と感じるのです。

ご自身もそうだったと思いますが、思春期は本当に不安な時期です。今まで大人に頼っていたのに、これからは自分で考えなくてはいけない。それは確かに「だるい」し「面倒くさい」です。ですが、いつまでも素直にお母さんに従っていたら自立できませんよね。

お子さんの口から「だるい」「面倒くさい」という言葉が増えたということは、ある意味でこれから自立していくためのサインだと受け取っていただければ良いのではないでしょうか。
そして、なぜ子どものそうした言葉にイライラするのかについてもお話しします。
いい歳をした大人が「だるい」「面倒くさい」と言っていたら、ちょっとムッとしますし、もっと小さい子どももあまりそういったことは言いませんよね。思春期は子どもでも大人でもない、脳にとってカテゴリー分けが難しい存在なんです。

ただ、思春期の子どもの脳内は今お話ししたような状態なので、大目に見てあげてください。そういうお子さんを温かく見守ってあげることが、思春期のお子さんにとっての“安全基地”になります。
“最後の甘え”だと思って、長い目で見ていただけたら嬉しいなと思います。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎

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