「400年早いパンクな人」茶道家・松村宗亮、千利休が残した茶道の精神性を独自解釈「お茶が本来持っている爆発力や革新性を大切にしています」

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2025年05月03日 06:10  TOKYO FM +

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「400年早いパンクな人」茶道家・松村宗亮、千利休が残した茶道の精神性を独自解釈「お茶が本来持っている爆発力や革新性を大切にしています」
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00〜15:50)。4月27日(日)の放送は、茶道家の松村宗亮(まつむら・そうりゅう)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)パーソナリティの小山薫堂、松村宗亮さん、宇賀なつみ



◆非日常を感じる空間でお茶会を開催

松村宗亮さんは、裏千家茶道の准教授であり、2009年に横浜・関内で茶道教室「SHUHALLY(シュハリ)」を開設。「茶の湯をもっと自由に、もっと楽しく!」をコンセプトに活動しています。

茶道の教室名を“守破離”(武道などにおける修行の段階を示した概念)ではなく「SHUHALLY」と表記するなど、従来の枠に捉われない新しいスタイルを追求しています。国内外で茶道の普及に力を注いでおり、「海外で今まで15ヵ国で茶会を開催しました。日本のなかでも川沿いやサウナであったり、サンリオピューロランドのキティちゃんがDJをしている横でお茶会をしたこともありました」と語ります。

もともと、茶道には「日常から離れて非日常に身を置く」というコンセプトがあると聞いていたという松村さん。現代における“非日常”の空間を意識しながら、「いわゆる“変な場所”でやることもあります」と笑顔で話します。

一般的にお茶会というと格式高い印象があり、参加をためらってしまったりするイメージもありますが、松村さんは「非日常の空間のなかで、お菓子を食べて一服のお茶を楽しみ、心地よい時間を過ごしていただくこともお茶の楽しみ方のひとつだと思っています」と言います。「どうかリラックスして楽しんでいただきたいです」と呼びかけました。

◆よりよい国際交流を目指して日本文化を学ぶ

松村さんが茶道に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

横浜生まれ横浜育ちの松村さんは、アメリカやヨーロッパなど、さまざまな文化が入り混じる地域で育ちました。その影響もあり、むしろ海外文化に憧れを抱き、日本文化についてはほとんど知らずに過ごしていたそうです。

大学を休学してヨーロッパを中心に一人旅をしていたとき、現地の人々が日本に強い関心を持っていることに驚いたそうで、「昔の文学や映画、禅のことを聞かれるんですけども、全然自分が答えられなくて。語るべき内容を持っていないことにすごく恥ずかしい思いをしたんです」と当時を振り返ります。

そのときの経験から、「日本文化を知っているほうが国際交流ができる」と思い直した松村さん。「日本に帰ってきてから始めたのが、お習字とかお花、お茶だった、というのがきっかけです。それが20歳を過ぎてからでした」と説明しました。

その後、松村さんは裏千家学園に入学し、本格的に茶道を学び始めます。周囲には、代々茶道を家業としている家庭の出身者なども多く、ある先生からは「三代続いていないと、なかなか教室としては成り立たない」と言われたこともあったそうです。「稽古場があって、地元でも名前が知られていて、長年やっているから道具も揃っている。では、自分はどうしたらいいのか?」と、今後の活動について思い悩んだといいます。

そこで松村さんが考えたのが、若手作家に新しい茶道具を作ってもらい、それを披露するという従来とは違うスタイルのお茶会を開くことでした。「新しいタイプのお茶会をやり始めたら、自然と道が開けていった感じですね」と明かします。

現在、「SHUHALLY」には約100名の生徒が在籍しています。「男性の先生自体が少ない世界なので、うちの教室は比較的若い方が多く、男性の比率が高いのも特徴かもしれません」と松村さんは語りました。

◆千利休は“パンク”な人だった!?

裏千家は、千利休を祖とする茶道の流派です。松村さんは、千利休を「400年早いパンクな人です」と表現し、深く敬意を抱いています。

当時は中国から伝わった唐物などの舶来品が主流でしたが、千利休はその風潮に対抗するかのように、日本製の道具や無名の陶工が作った器を積極的に取り入れ、新たな価値観を示しました。「お金がなくてもお茶会ができることを示したと思います。400年経った今も、その価値観に日本は影響を受けていると思います」と松村さん。

その千利休に強く影響を受ける松村さんは、「お茶が本来持っている爆発力や革新性、そして精神性は大切にしています。過去を否定することなく、自分なりの新しいスタイルを表現していけたらと考えています」と思いを口にしました。

◆世界中から親しまれる抹茶の魅力

当番組では、ゲストが思いを伝えたい人に向けて“手紙”を読みます。今回は誰に向けてのメッセージなのでしょうか?

<松村宗亮さんの手紙>

前略 長い付き合いになるけれど、こうして改めて手紙を書くというのは気恥ずかしいものですね。でも、せっかくの機会なので、あなたへの思いを綴ってみたいと思います。

初めてあなたとしっかり向き合ったのは、私が20代前半の頃でした。どう接していいかわからず、その深い色と、心を引き締めるような香りに圧倒され、ただただ苦い思い出ばかりが残っています。でも、時間が経つにつれてあなたのことを少しずつ理解し、その奥深さを知るうちに気がつけばすっかり魅了されていました。今では私の人生に欠かせない存在です。

あなたがいなければ大切な友人や世界とのつながり、道具や歴史さえもどこか遠く感じられるような気がします。あなたが遠い異国からやってきたことを知ったときは、少し驚きました。あまりにもこの国で馴染んでいて、今や“レペゼン日本”のような存在になっているからです。

日本に来た当初はお坊さんと過ごすことが多かったと聞いています。時には武将たちとの交渉の場に同席することがあったとか。そのあと、多くの民衆と触れ合い、深く愛される存在になりましたね。一時は人気が陰る時代があったと聞いていますが、今では日本発の大スターとして世界中で愛されています。

私もそんなあなたに関わる身として、とても誇らしく思っています。先日、旅先であなたの名前が付いた食べ物をたくさん見かけましたよ。今はちょうど、八十八夜を迎える時期です。今年も新しいあなたに出会う準備が始まっています。11月には、素敵でフレッシュなあなたと再会できるのを楽しみにしています。

長い付き合いなのに、いつも新しい顔を見せてくれるあなた。これからもずっと仲良くしていきたいです。あなたと過ごす時間が、これからの私の人生をより豊かにしてくれることでしょう。抹茶。本当にいつもありがとう。

草々 4月吉日 松村宗亮 抹茶様へ

世界中から関心を集めている抹茶。松村さんは「YouTubeやTikTokをやっているんですけども、抹茶に関する質問が英語でめちゃくちゃ来ますね」と明かします。

最後に、これからの夢を聞かれた松村さんは、「いろいろな場所でお茶会をしていきたいです。一方で、お茶がもともと持っている、自分の心を豊かにしてくれる感性も、歳を重ねるごとに発見が多かったんですね。マインドフルネス、医療と関連して新しいお茶のプログラムを作っていきたいです」とコメントしました。

番組では、松村さんが小山と宇賀にお茶を点てる模様もお届けしました。ぜひ、番組をチェックしてください。

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4月27日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年5月5日(月・祝) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/

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