
春のGIシリーズが再開。今週は、伝統の長距離GI天皇賞・春(京都・芝3200m)が5月4日に行なわれる。
過去10年の勝ち馬はすべて、3番人気以内の上位人気馬。1番人気も4勝、2着3回と、まずまずの成績を残している。となると、穴党には出番がなさそうに思えるが、決してそんなことはない。2、3着には6番人気以下の伏兵が頻繁に突っ込んできており、3連単ではオイシイ配当がしばしば生まれている。
たとえば、2015年にはゴールドシップ(2番人気)が勝利するも、2着には7番人気のフェイムゲーム、3着には10番人気のカレンミロティックが入って23万円6300円、翌2016年もキタサンブラック(2番人気)が勝ちながら、13番人気のカレンミロティックが2着と奮闘して24万2730円といった高額配当まで飛び出している。
そして今年は、断然の人気を誇る"主役"が不在。そんな状況を受けて、日刊スポーツの太田尚樹記者も、「ここまでの春のGIは堅い決着が続いていますが、このメンバーを見ると、いよいよ穴党の出番が来た、と言えそうです」と語って、こう続ける。
「今年は非常に難解なレースになったと思います。GI馬もジャスティンパレス(牡6歳)とブローザホーン(牡6歳)の2頭だけ。しかも、ともに近走は物足りないレースが続いています。また、過去10年の結果を見ると、1、2番人気が必ず連対していて、データ的にはヒモ穴狙いがいいのでしょうが、今年は人気どころが全滅して"大荒れ"になっても驚けませんよ」
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そこで、太田記者は一発が見込める穴馬候補を2頭、ピックアップした。1頭目は、シュヴァリエローズ(牡7歳)だ。
「前走のGII日経賞(3月29日/中山・芝2500m)12着大敗によって、下馬評をかなり落とした印象ですが、日経賞の勝ち時計は2分36秒1。その遅いタイムからもわかるとおり、当日の馬場はやや重発表以上に悪かったです。
実際に勝ったマイネルエンペラー(牡5歳)と2着チャックネイトは、ともに道悪巧者。ディープインパクト産駒で、乾いた馬場が合う同馬にとっては、不向きでした。この敗戦は度外視していいと思います。
それに、今回の舞台となる京都競馬場は4戦2勝と相性がいいコース。3走前のGII京都大賞典(10月6日/京都・芝2400m)でも、骨のあるメンバー相手に勝っています。加えて、この時の勝ち時計は2分22秒9。秋の京都開催では、過去10年で最速タイです。
鞍上の北村友一騎手も『軽い馬場で(直線が)平坦なのは(この馬にとって)一番いいのでは』と、逆襲への手応えを感じているようでした。週末の天気はよさそうですし、高速馬場になれば、上位争いに加わってもおかしくありません」
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太田記者が推奨するもう1頭は、前走のGII阪神大賞典(3月23日/阪神・芝3000m)で1番人気に推されながら4着に敗れたショウナンラプンタ(牡4歳)だ。
「阪神大賞典では、勝ち馬から1秒1差の4着。その数字だけ見たら、完敗と思われるかもしれませんが、鞍上の武豊騎手は悲観していませんでした。逆に、『(阪神大賞典は)少頭数の1枠1番(発走で)の大本命と、難しいレースになった。次の天皇賞・春に向けて、マイナスになるようなレースをしたくなかったので。(天皇賞・春では)前回(自分が)乗ったのを、今回に生かしたい。チャンスがある1頭だと思いますよ』と、大一番へ色気を見せていました。
昨年のGI菊花賞(10月20日/京都・芝3000m)でも、今回1番人気が予想される2着ヘデントール(牡4歳)とはタイム差なしの4着。淀の長丁場となれば、巻き返せると思います。無論、天皇賞・春では8勝を挙げて"平成の盾男"とも呼ばれた名手・武豊騎手の手腕にも大いに期待しています」
激戦必至の長距離王決定戦。前走の敗戦によって人気を落としそうな、実力馬2頭の反転攻勢に注目である。
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