米巨大IT企業、政権に擦り寄りも恩恵乏しく=貿易戦争で混乱、規制緩和も期待外れ

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2025年05月03日 08:01  時事通信社

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時事通信社

トランプ米大統領(手前右)の就任式に参加したアップルのクック最高経営責任者(CEO、中央)=1月20日、ワシントン(EPA時事)
 【シリコンバレー時事】トランプ米大統領の当選が決まると、面会や寄付などに動いた米巨大IT企業。就任から100日たったが、トランプ関税に伴う貿易戦争でサプライチェーン(供給網)は混乱し、期待していた規制緩和は肩透かし。市場独占に対する当局の監視も続く。政権への擦り寄りの恩恵は乏しいのが現状だ。

 アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・ドット・コム。1月20日のトランプ大統領就任式には、巨大ITの創業者や最高経営責任者(CEO)がこぞって出席した。米メディアによると、トランプ氏は就任式では過去最高となる2億3900万ドル(約350億円)の寄付を集めた。大きく貢献したCEOらは「特等席」で迎えられた。

 就任式は米国民へのお披露目の意味合いが強く、企業首脳を招く動きは限られてきた。規制・監督を担う政府と、その対象である企業の間には一定の距離があったが、今年は趣が異なった。

 巨大ITがトランプ氏に接近を図った背景には、当局による監視や規制の緩和への期待があるもようだ。グーグルは反トラスト法(独占禁止法)訴訟で敗れ、事業解体の危機に直面。メタやアマゾンなども同様の訴訟が進行中だ。

 今のところ擦り寄りの効果は薄い。米株式市場で時価総額上位のアップルやマイクロソフト、エヌビディアは関税政策のあおりで大きく売られ、時価総額は一時3兆ドル台から2兆ドル台に転落。アマゾンとグーグル親会社のアルファベットも一時2兆ドルを割り込んだ。

 司法省が提起した独禁法などの訴訟も、取り下げの動きはない。グーグルは検索市場に続き、4月にはインターネット広告市場の訴訟でも敗訴。メタはインスタグラム買収を巡る訴訟が同月に審理入りした。ウーバー・テクノロジーズも有料会員サービスが消費者保護に反するとして競争当局から提訴された。

 トランプ政権は、世界的ブームの生成AI(人工知能)については規制緩和の姿勢を示す。一方で、各社の中核事業への監視は緩める気配がない。 

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