
大阪・関西万博で、滋賀の地場産業である麻織物と、法衣製造の技術が展示スペースに登場。湖国で培われてきた伝統の技を知ってもらう好機として、関係者が工夫を凝らしている。
【写真】シルクスクリーンでプリントが施される「近江ちぢみ」のカーテン
参加するのは、伝統的工芸品・近江上布の製造に携わる県麻織物工業協同組合(滋賀県愛荘町)と、法衣縫製の「Office COMA」(大津市)。京都や滋賀など9府県が共同出展する関西パビリオン内の滋賀県ブースで使うカーテンを製作した。
カーテンは高さ約3メートル、幅約1・5メートルと約1・8メートル。ブースに設置されたスクリーンの光が漏れないよう、出入り口の内側と外側に2枚ずつ掛けられる。
同組合は、日本古来の麻「ラミー」を用いた「近江ちぢみ」を使用。先染めした藍色にしまが入った伝統的な柄の織物を作った。機械で昔ながらの織り方や染め方を再現しているといい、シルクスクリーンでアルファベットの「IN」などを印字している。
麻織物は江戸時代、中山道の宿場町・高宮宿の特産品「高宮布(ふ)」として売られ、幕府に献上するために井伊家が保護したとされる。担当の西川幸子さん(55)は、「地域のアイデンティティーのような織物を発信したい」と意気込む。
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Office COMAは、黒色のポリエステルの上に法衣の生地2種類を縦横に縫い付けた。デザインは袈裟(けさ)をモチーフとし、進入禁止のマークに「紋紗(もんしゃ)」という生地を選んだ。法衣の伝統柄であるフジが織り込まれ、透けた青色は琵琶湖を思わせる。
正絹のような高級素材を仕立てる際の縫い目を見せない技術も取り入れた。法衣製造独特の縫い方であり、林見津枝社長は「自分たちにしかできないこと」とアピールする。
(まいどなニュース/京都新聞)
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