漫画では、時に人格を持ついろいろな”物”が登場する。Xに投稿された読切漫画『たこさんウィンナーのこころ』は、人格を持ち、会話をするタコさんウィンナーたちの哀愁溢れる“ヒューマンドラマ”が描かれている。
シュールな世界観でありながらも、どこか人間臭さを感じられる本作がどのようにして生まれたのかなど作者の柏木大樹さん(@kasiwagidaiki)に話しを聞いた。(望月悠木)
◼︎なぜ人格が復活したのか?
――なぜたこさんウィンナーがメインの作品を描こうと思ったのですか?
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柏木:ある日、娘の知育絵本の中に、自我を持つタコさんウィンナーが登場する物語を目にしました。それをキッカケに「お弁当のタコさんウィンナーの時の流れや、愛を描けたら楽しいかな」と思って描いてみました。楽しかったです。
——舞台が未来に移る展開には驚きました。どのように「舞台を未来に移す」というアイデアを思いついたのですか?
柏木:短編漫画を考える時は毎回、「大きく時間を動かす」という案を一回は頭の中で試しています。今回は上手くハマりそうだったので採用しました。
——各たこさんウィンナーは「食べられて終わり」ではなく、「たこさんウィンナーになることで過去に持っていた人格や記憶を取り戻す」という設定は斬新でした。
柏木:なんでこんな設定なんでしょうね。物語を考え始めた最初の段階で“そういうもの”として頭の中にあったので、自分でもよくわかりません。過去に自分が触れた何かしらの作品にヒントがあるのかもしれませんが、やはりよくわかりませんね。
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◼︎調理シーンを丁寧に描いたワケ
——たこさんウィンナーは可愛らしい見た目をしていますが、会話の内容はとても大人で、そのギャップが面白かったです。
柏木:児童書ルックなビジュアルと設定で児童書みたいな物語にしてしまったらそれは児童書なので、「漫画である以上はそこに多少のひねりは必要だ」と思った結果、本作の感じになりました。また、そのひねりを考えている時が何より楽しくもあります。
——ちなみに、各たこさんウィンナーのデザインはどのように描き分けましたか?
柏木:メインの2人のお顔を誰よりもシンプルにして判別がしやすいように心掛けてみました。
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——足に切れ目を入れるシーンが描かれるなど、たこさんウィンナーが作られる過程が丁寧に描いた狙いを教えてください。
柏木:衰退した時代に、かつてのように形がキレイじゃないウィンナーを、ゴツい包丁で切り、貴重な油を使って思い出のタコさんウィンナーを作るというのは、人間側のドラマです。
ウィンナー視点だけではなく、「最初に美味しそうにタコさんウィンナーを食べていた女の子の時間の経過も描くことで読みごたえを増やせるかな」と思い、丁寧に描きました。
――最後に今後の漫画制作における展望は?
柏木:変わらずに短編漫画を毎月2本描き続けられれば幸せです。描きたいものはまだまだあるし、どんどん増えていくので。自分の死に際は「あれもこれもまだ描いてない〜」とか言っていると思います。商業の仕事もちらほらやっているので、ご依頼あれば是非是非。
(文・取材=望月悠木)
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