写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2022年5月31日 記事は取材時の状況)
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最近は清々しい陽気が続いていますが、まだ夏じゃないからといって油断してはいけないのが脱水症です。今回は、そんな脱水症にまつわるエピソードを2つご紹介します。
◆暑くないの?
吉田明日香さん(仮名・28歳・派遣社員)は、行きつけの美容院の担当美容師(S太さん・32歳)とお付き合いを始めて1年になります。
「S太のことはコロナ前からちょっといいなと思っていました。コロナ禍で楽しみが減ったなかで、久しぶりに美容院で会ったS太との会話が身に染みるほど楽しく感じて、つい私からアプローチしてしまいましたね」
昨年の今頃、付き合いたての2人は公園に併設されたカフェでランチデートをしました。
「日差しが降り注ぐテラス席で、S太と気持ちよくグリーンカレーを食べていたのですが、正午を回った辺りからだんだんと日差しが強くなってきて、夏日って感じになってきたんですよ」
明日香さんは上着を脱ぎ、半袖姿になりました。
「なのにS太は、パーカーを着たままカレーを食べ続けていて『辛くて美味しいね、コレ』と笑顔なんですが…あきらかに汗だくで」
◆パーカーを脱いだら…
「それ、脱いだ方がいいんじゃない?暑いでしょ?」と、うながしてもS太さんは一向にパーカーを脱ごうとしません。
心配になった明日香さんは、たまらず『お願いだからパーカー脱ぎなよ!顔赤いし、汗スゴいし…気になってデートを楽しめないよ』と真剣に訴えかけたそう。
「そうしたらS太が、嫌々パーカーを脱いでくれたんですが、両腕の内側にたくさんプツプツができていて『ど、どうしたの?それ!』と思わず大声を出してしまいました」
◆ブツブツの原因
実はS太さん、美容院で働いている時はひっきりなしにお客さんが来るのでとてもバタバタしていて、常にマスクとフェイスガードを2重に装着していることもあり、つい水分補給をし忘れてしまうんだとか。
「皮膚科に行ったら原因は『水分不足による乾燥肌だ』と言われたそうです。S太が『仕事中、500mlのペットボトル一本を飲み切れない時もある』と言ったらお医者さんに怒られたそうです」
S太さんは、プツプツだらけになってしまった腕を明日香さんに見られたら「怖がられて嫌われてしまうんじゃないか?」と思い、つい隠そうとしてしまったそう。
◆思い当たることが
「そういえば、部屋で一緒にいる時も不自然に腕を隠していた時があったなと思いました。正直に話してくれれば良いのに」
明日香さんが「そんなことで嫌うわけないでしょ?それよりちゃんと涼しくして、アイスコーヒーよりお水飲んで!また脱水状態になっちゃうから」と背中を叩いたら、S太さんは嬉しそうにお冷やに口をつけました。
「改めて美容師って大変な仕事だなと思いましたね。それ以来『なるべく1時間に1度は水分補給するんだよ!』と声をかけるようにしています」
続いては久しぶりの映画館でのエピソードです。
◆久しぶりの映画館
金谷美佳さん(仮名・34歳・主婦)は、コロナ禍以降、一度も映画館に行っていませんでした。
「なんとなくあの密室感が不安で、足が遠のいていたんですよね」
ですが、友達たちは『映画館は換気をしっかりしているし、お客さんも皆んなマスクをしていて、上映中話す人なんてほとんどいないし大丈夫だよ』と口を揃えて言っています。現に感染したという話も聞かないので、美佳さんは久しぶりに映画鑑賞をしてみることに。
「元々そんなに映画館に行く方ではないのですが、私が好きな俳優の田中圭さんが主演の作品がやっていたので、大きなスクリーンでどアップを楽しみたくなりネットで席を予約したんですよ」
◆小走りで映画館へ
当日、思いのほか電車も街も混雑していたため、美佳さんは上映時間ギリギリに映画館にすべり込みました。
「ずっとアセりながら小走りで行ったので、映画館の椅子に身を沈めてホッとしました。そして作品にのめり込むぞ!と意気込んで観始めたのですが…」
上映30分ぐらいで集中力が切れてぼんやりとしてきてしまい、美佳さんはめまいのようなクラッとする感覚に襲われたそう。
◆めまいの原因に気がつき…
「おまけにちょっと吐き気までして怖くなって…そしたら口の中がネバついているのを感じ『あ、そういえば私しばらく水分摂ってないな』とハッとしたんですよ」
映画の途中でしたが、あわてて自動販売機にスポーツドリンクを買いに走りました。
「水分補給しながら映画を観ていたらだんだんと身体が楽になってきたのでホッとしました。きっと脱水状態になってしまっていたんでしょうね」
マスクをしていたせいか、特に“喉が渇いた”という感覚がなかったのが怖かったと美佳さんは語ります。
「真夏だったらいつもバッグに水のペットボトルを入れておくのですが、完全に油断していました。春先だろうが冬だろうが、これからはちゃんと持ち歩こうと思います」
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop