看板の減税、紛糾必至=医療支援の削減案浮上―トランプ政権100日

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2025年05月06日 08:01  時事通信社

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時事通信社

 【ワシントン時事】トランプ米大統領の高関税政策で景気悪化の懸念が強まる中、トランプ氏は看板政策である大規模減税の実現を先行き不透明感払拭の切り札に据える。しかし、減税による債務増大を抑制するため、低所得者向け医療支援の削減案が浮上。与党共和党内の議論は紛糾が必至の情勢だ。

 「われわれは米史上で最大の減税を可決する」。トランプ氏は就任100日目となった4月29日の演説で、大規模減税を実現するため、議会に速やかな法案承認を促した。

 トランプ氏が「大きな美しい法案」と称する減税法案には、1期目に成立した大型所得減税の延長のほか、飲食店従業員らが受け取るチップの非課税化といった大統領選公約の減税が含まれる。さらに、国防や国境対策の強化、規制緩和など「トランプ色」の強い、幅広い施策が盛り込まれる見通しだ。

 減税法案を巡って議会との折衝に汗を流すベセント財務長官は、「法案は(企業や消費者に)確実性をもたらす」と強調。減税の実現で関税による不透明感解消と成長押し上げを狙う。

 一方、大規模減税は、債務膨張を加速させるリスクをはらむ。超党派機関の議会予算局は、大型所得減税の延長だけで債務の国内総生産(GDP)比率が30年後には220%と、現在の100%程度から倍増すると見込む。

 そこで取り沙汰されているのが、低所得者や障害者など社会的弱者を対象とした医療支援「メディケイド」の削減だ。歳出圧縮を強硬に主張する下院共和党の財政規律派は、減税法案に支出を抑制する「構造的な改革」を含めるよう要求する。

 一方、メディケイドは地方の医療を支えている側面がある。西部コロラド州選出のハード下院議員(共和党)はラジオインタビューで「わたしの選挙区では3人に1人がメディケイドに頼っている」と指摘。弱者扶助という制度本来の目的を守るよう訴えた。

 トランプ氏は支持離れを恐れ、「社会保障や医療保険・扶助には手を付けない」と再三表明。今月4日のテレビインタビューでも「メディケイドは削減しない」と強調した。

 共和党は上下両院ともに、辛うじて過半数を維持しているにすぎず、「トランプ減税」実現には結束が不可欠だ。だが、米シンクタンク「サードウェイ」のザック・モラー氏は「共和党内で財政規律派と、その他の議員の間で対立がある」と指摘。「減税による債務の増加があまりに大きいためだ」と分析した。 

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