インタビューに応じる米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)」のシニアフェロー、ジェームズ・カプレッタ氏=4月7日、ワシントン 【ワシントン時事】米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)」のシニアフェロー、ジェームズ・カプレッタ氏は、トランプ大統領と与党共和党が進める大規模な減税で、「財政赤字は一段と拡大する」と警告した。5日までに時事通信のインタビューに応じた。
トランプ政権は、関税引き上げによる収入増や政府機関の規模縮小などで、減税に伴う財政赤字の増加を抑える考え。しかしカプレッタ氏は、関税にせよ政府縮小にせよ、議会承認などを経ておらず「違法だ」と明言した。
関税については、ある程度長期にわたって維持できたとしても、「実質的には売上税のようなもので、歳入のベースを(法人税や所得税など)他の税収から関税に移しているにすぎない」と指摘。法的にも経済的にも「持続可能ではなく、関税を将来的な財源とするのは間違いだ」と断言した。
また、トランプ氏に近い実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が音頭を取って進める支出カットも、あくまで「議会による承認や法案可決が必要だ」と述べた。
一方、トランプ政権とDOGEによる政府職員の大量解雇に関しては、違法な場合が多いとしつつも、一度離職した職員を復帰させ、組織の再構築を図るのは難しいと指摘。結果的にトランプ政権の人員削減の規模は「(歴代政権の)これまでの取り組みよりも大きくなる」と予想した。