グラフィックT OMIYAGE(Yunosuke)+X―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーの
MBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第530回をよろしくお願いします。
◆中年男性は絶対に回避すべきGUの危険アイテム
今回は買ってはいけないGUワーストバイ!
春夏新作の中から「これはちょっと……」と思う5つをピックアップしてみました。
◆実は「若者向け」ではないGU
・ドライダブルフェイスパーカ(5分袖) 1490円
なぜか毎年展開される半袖パーカ。「GUだから若者向けで作ってるんでしょ?」とお思いかもしれませんが、実はGUの客層は決して若くありません。
ティーンやZ世代はGUですら高いと感じているようで、SHEINやtemuなどの超格安中華系メーカーかもしくは格安古着などでまかなっている人が多い印象。実際、お店に行ってもGUは意外にも30代くらいの方が多く、以前までの「若い人向け量販店」のイメージからはすでに乖離しています。
だからこそ本革シューズやセットアップスーツなど30代が反応しそうな大人向けアイテムを作っているわけですが、なぜかこの半袖パーカは廃盤にならず地味に生き残っています。
◆大人の要素はひとつも見当たらない
いや、半袖パーカももちろんおしゃれに着ることができないわけじゃないですが……そのハードルはかなり高いといっていいでしょう。しかも、この商品、スウェット素材で半袖でパーカですから……大人な要素がただのひとつもありません。
これに定石通りに短パンサンダルなどを合わせれば、どこからどう見ても夏休みの子供のできあがり。かといって大人っぽく細身のスラックスを合わせてもチグハグ感が目立つ。子供っぽすぎる要素が満載すぎてスラックスを合わせたくらいではカバーできないのですね。
ストリートスタイルが好きで半袖パーカをうまく着こなす自信があるならまだしも、「なんか雨も防げるし、着心地よさそうだしいいじゃん」くらいならやめておきましょう。夏休みの小学生感満載になりますので。
・スウェT(5分袖) 1290円
スウェットが好きで夏も着たい、というのならこちらでいいでしょう。GUの名作スウェT。
スウェットデザインですが、素材は薄手のTシャツになっているので快適。フードこそないですが、スウェット好きならこちら一択です。
◆「ネタ」として手を出すと必ず失敗する
・グラフィックT OMIYAGE(Yunosuke)+X 1290円
「ネタTシャツ」の類はどの時代でも必ず一定割合存在します。ナード(欧米でいうところの「オタク」の意味)な着こなしを好むトレンドでは一層多く市場に出回りますが、いずれの時代においても初心者が軽々と手を出すべきではありません。
おしゃれ目線で手を出すべきではないというのはもちろんですが、文字通り「ネタ」として手を出す人にも警告しておきますがハッキリ言ってサムいです。「ポカリスウェット」のデザインで「パッチャリスウェット」だとか……その類すべてサムいです。
「俺、ギャグわかってるぜ」感がたまらなくダサいので、余程笑いのセンスに自信があり、ネタとしての審美眼がある人以外はやめておきましょう。
◆そもそも日本人に向けて作ってない
加えて「”あえて”おしゃれを諦めてる感」を見せているのもサムいです。「本当はおしゃれくらいわかってるけど、面白いからあえてこれ選んでるんだよね」的な。いずれにしても360度どこからどう見てもダサいし、サムいのでネタTは初心者が手を出すものではありません。
そもそもこの手のTシャツはインバウンド向けのお土産品に近い。日本人に向けて作ってないので勘違いしないようにしましょう。
・ウォッシュドグラフィックT(5分袖) MOVIE 1490円
同じネタTでも、こうしたヴィンテージを模したものならわかります。
おしゃれな人も着ているし「こなれ感」を出せる柔らかい素材に仕上げていたりとGU側もちゃんと考えて作っている。お土産品的なものを選ぶくらいならこっちが断然おすすめです。
◆「おもちゃ」レベルでしかないアクセサリー
・メタルコインネックレス 590円
外国人モデルを使い、それっぽく見せているGUのアクセサリーですが、これで590円ですよ? はっきり言ってしまえば『おもちゃ』に近いです。
女子なら男性よりもバリエーションがほしいからこうしたチープジュエリーに手を出す意味もわかりますが、男性はほとんどこうしたアクセサリーはつけない。
なので、おしゃれな人は皆「一生使う」くらいの気合入ったものを選びがちです。そんな中、590円の合金で出来たネックレスを選んでいたら当然、悪い意味で「浮いて」しまいます。
◆コーディネート全体の質を下げるだけ
こうした合金は歩くたびにチャラチャラと鳴り、シルバーやゴールドが持つ重厚感は一切なし。加えて、シルバーと異なり、経年での燻みは生まれにくいのでイミテーション感丸出し。はっきり言ってコーディネートの質を下げるので絶対に手を出すべきではありません。
そもそもGUもこれ明らかに女子向けに作っているのに「メンズも一応つけれるし、メンズカテゴリーにも入れておけばワンチャン売れるかも」とか考えているのがミエミエです。GUの開発チームの男性で、実際にこのアクセサリーをつけている人が一人でもいるんでしょうか。
服好きな人なら100%選ばないアイテムです。バリエーションがほしい女子ならともかく、男性はNGです。
◆極端にコモディティ化したアイテム
・ショルダーバッグ Pokemon 1990円
5〜6年前くらいから火がつき大衆化したサコッシュ。元はアウトドアのアイテムで両手をあけたまま軽い荷物を持ち運べる便利グッズ。スマートウォレット化・キャッシュレス化が進み、荷物が少なくなった背景も手伝って大人気となりました。
しかし、人気になりすぎて今や「おじいちゃん」でもサコッシュを使ってる始末。こうなってはしまってはサコッシュがむしろ逆にダサく感じるものです。いつの時代も極端にコモディティ化するとどんなにイケてるアイテムもダサくなる宿命です。
スキニーデニムだってそうだったでしょう? あれだけスニーカーの王者として君臨していたNIKEも広がりすぎた結果、今は売上を落としています。
◆簡単に時代遅れなダサいスタイルに
便利なのはわかるんですが、いまだに5〜6年前の感覚で「こういう小さいバッグが今はいいよね」などと手に取っている人は要注意。着こなしを考えないと簡単に時代遅れなダサいスタイルになりかねません。
・ナイロンカーゴハーフパンツ 2290円
正直、夏場は軽装になるため、あまりバッグが似合いません。単体で存在感のある高級レザーバッグなどならともかく、初心者は「持たない」ほうが賢明です。
こうした収納の多いショーツなどを活用して財布スマホを入れ手ぶらコーデを心がけましょう。
◆マンネリ打破のためにも取り入れてはいけない
・ウォッシャブルチルデンニットベスト+EC 1990円
「マンネリ気味の夏スタイルを変えてくれそう!」と思ってこうしたプレッピーなチルデンベストに手を出す人もいますが、たいてい大失敗かましてしまいます。
特に30代以上の男性がチルデンベストで失敗すると目も当てられない。企画モノAVに出てくる「明らかに40代以上だけど学生服を着てる男優さん」みたいに見えますので要注意。
◆同色でベストを「目立たせない」
この手のチルデンベストは日本だとあまり着ている人を見かけず、学生服のイメージが強烈に強いため、上手に合わせないとただのコスプレになってしまうのです。
どうしても合わせたいならコツとしては同色のTシャツに合わせること。黒のベストなら黒のTシャツに。白のベストなら白のTシャツに合わせることです。
こうして同色でベストを「目立たせない」ようにすることで印象を調整できます。といっても初心者にはやはりおすすめしないので無理をせずに……。
以上、GUのワーストバイでした!
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag)